シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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障害学 | 2024 | 後期 | 月4 | 理工学部 | 番園 寛也 | バンゾノ ヒロヤ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-IF1-GC15
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
障害学は、1970年代以降、徐々に学問領域/アプローチとして形成されてきました。障害学において、障害とは主流派の身体と異なる(とされた)身体、異なる(とされた)身体性のことを指しつつ、そうした身体性を持ってこの社会を生きていくことの経験、とりわけそこで生じる社会的な不利益や差別、排除、抑圧のことを障害と呼びます。ここでの「身体」「身体性」には精神や認知特性といったものも含まれます。障害学は、この障害の社会的な側面に焦点を当て、社会構造、人々に与えるインパクト、そして障害の経験の中で紡ぎ出された思想を学問的に取り扱います。障害を探求の対象とする学問はたくさんありますが、それらに対して、障害学を特徴づけているのは、人々の生きられた経験に根ざし社会を捉え返す、批判的なアプローチです。
この授業は、障害学の蓄積を学ぶことを通じて、障害とそれを取り巻く社会を捉える、複数の視点を獲得することを目的にしています。また、障害については、制度化された学問体系には収まらない「知」や「思想」がたくさんあります。そのため、学術論文や書籍以外の書かれたものや、映像なども取り上げながら、考えを深めていきます。
授業の中では、講義に加えて、受講者数に合わせた形態で、受講生同士のディスカッションとグループワーク、個人ワークを行います。
分量が多くなりすぎないよう調整しますが、各回のトピックに関連するリーディング課題と事前事後の課題を出す予定です。
科目目的
・人々の経験、生に根ざしたトピックをリスペクト(他者への敬意、尊重する意識)を持って考え、議論する仕方を身につける
・障害学の基本的な考え方、知識を身につける
・障害をめぐる諸問題について、現代社会を批判的・反省的に捉える視点を身につける
到達目標
・授業で学習した障害学の基本的な考え方、概念を正確に理解できるようになる
・障害に関するトピックについて、リスペクト(他者への敬意、尊重の意識)と社会に対する批判的・反省的な視点を持って言葉にすることができるようになる
授業計画と内容
第1回 ガイダンス:講義の目的や授業計画、成績評価についての説明、質疑応答
第2回 障害者運動と障害学:個人、身体への焦点化から社会への捉え返しへ
第3回 障害の社会モデルと人権モデル:恩恵から権利保障へ(ユニバーサルデザインと合理的配慮)
第4回 障害をめぐる差異と平等:「他の人とは違うこと」と「同じ人間であること」をめぐって
第5回 文化としての障害:障害から紡ぎ出された文化と表現
第6回 インターセクショナリティ:ジェンダー・セクシュアリティ、エスニシティと障害の交差
第7回 前半の振り返りとまとめ:障害を捉える複数の視点
第8回 資本主義と障害:「社会の役に立つ」を問い直す
第9回 教育と障害(1):インクルーシブ教育をめぐって
第10回 教育と障害(2):大学の中の障害を考える
第11回 科学・技術と障害(1):「知」を生み出す場からの排除と包摂
第12回 科学・技術と障害(2):科学・技術はどのように障害の問題の解決につながるか
第13回 自然・環境と障害:エコロジー思想と障害学はどこで切り結ぶか
第14回 到達度確認+全体の振り返りとまとめ:障害という切り口から社会を問い直す
*ゲストスピーカーを予定しており、その日程に応じて授業計画が前後する可能性があります。
*ガイダンスとまとめの回以外の授業は、前半に講義、後半に質疑応答と個人・グループワークという構成で実施する予定です。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 20 | 第14回の授業日に、それまでの授業で扱った内容に関する知識の習得度を確認するテストを実施し、その得点で評価します。 |
平常点 | 80 | 授業中や授業前後に個人ワーク、グループワークのアウトプット、授業へのコメントを提出してもらいます。それらの提出状況と取組内容で評価します。またmanaba上でのディスカッションも行いますので、積極的な参加は加点の対象とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
講師は2012年から現在まで、高等教育機関における障害のある学生、研究者の支援、環境整備の実務に従事している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
第3回 障害の社会モデルと人権モデル:恩恵から権利保障へ(ユニバーサルデザインと合理的配慮)
第10回 教育と障害(2):大学の中の障害を考える
などの回で、高等教育機関を中心とした実社会での権利保障、インクルーシブな環境整備のための実務的な課題とアプローチについて紹介する。
テキスト・参考文献等
教科書はありません。適宜、レジュメ・文献を配布します。
障害学に関しては、以下の文献が参考になります。
杉野昭博『障害学 理論形成と射程』東京大学出版会、2007年。
小川喜道・杉野昭博 編著『よくわかる障害学』ミネルヴァ書房、2014年。
飯野由里子・星加良司・西倉実季『「社会」を扱う新たなモード 「障害の社会モデル」の使い方』生活書院、2022年。