シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際経済法 | 2025 | 春学期複数 | 月2,水5 | 法学部 | 楢﨑 みどり | ナラザキ ミドリ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-IR3-002L
履修条件・関連科目等
基本的概念や基礎的体系を理解する上で、国際法総論、国際取引法を合わせて受講していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この講義では、WTO(世界貿易機関)協定を中心とした、国際通商や国際事業活動に関する法的規制を取り上げます。WTOは、その前身であるGATTの基本的精神を受け継ぎ、貿易障壁(関税・輸入数量制限等の国境措置、環境規制や商品規格等の国内規制を含む)の削減と、差別的取扱いの禁止(無差別義務)とを主な柱としています。春学期の最初は、国家主権や国家管轄権などの法概念の抽象的説明が多いですが、徐々に、特定の紛争事案に対する条文の解釈適用を各自がシュミレーションできる程度まで、WTO紛争処理実務を素材に、具体性を深めてゆきます。
科目目的
国際貿易紛争の解決は、いまや、外交や政府間交渉といった国家の政治力による解決だけではなく、第三者たる国際機関に紛争案件の処理を付託してその勧告を受け入れるという司法的解決に、軸を移しつつあるように見えます。WTO(世界貿易機関)の加盟国が拡大し、WTO体制=グローバリズムと称される現在、わたしたちは、ここにどのような法文が規定され、それが具体的にどのように解釈適用され、それによりわたしたちにどのような権利義務をもたらすかを知らねばなりません。日本は、すでに何度も、WTO紛争処理手続の申立国にも被申立国にもなっています。今後も、WTO協定の条文と紛争処理手続の判断は、日本の貿易環境に影響を与え続けるでしょう。
到達目標
具体的な紛争解決基準を知り、貿易相手国との法的交渉のための実践力をつけることを、この講義では到達目標としています。
授業計画と内容
概ね以下の順に28回の授業を展開します。
1. 国際経済法総論1 ガイダンス
2. 国際経済法総論2 紛争事例
3. 最恵国待遇
4. GATT第1条
5. GATT成立経緯
6. 紛争処理手続
7. 国際レジーム論
8. GATT第3条 内国民待遇
9. GATT第20条 一般的例外
10. GATT第20条 紛争事例
11. 中国レアメタル・レアアース事件
12. 例外に関する最近の紛争事例
13. GATT第11条 数量制限の禁止
14. 農産物協定
15. GATT第19条 セーフガード
16. GATT第21条 安全保障例外
17. GATT第6条 アンチ・ダンピング
18. 補助金協定
19. SPS協定 安全検疫制度
20. 安全性基準・遺伝子組み換え
21. 知的財産権の貿易関連側面
22. 地理的表示
23. 並行輸入
24. サービス貿易
25. 投資保護
26. 外国人労働者の受入れ
27. WTO協定の国内適用可能性
28. 競争法の域外適用
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講義で取り上げるWTO裁決については、著名な事件であれば特に、インターネットなどで情報を入手することが可能です。調べて事案や争点等を確認しておくことで、効果的な学修が期待できます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 授業で扱った事例について、こちらで指定したレポート書式を使って、レポ―ト試験を課します。これにより成績評価致します。対面式の授業の回では、教室にて授業時間中にコメントシートを配布し、授業での質問事項に対して御自身の立場からの解釈や意見などを書いていただきます。書かれた内容によって成績評価において加点いたします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
対面式の授業の回では、教室にて授業時間中にコメントシートを配布し、授業での質問事項に対して御自身の立場からの解釈や意見などを書いていただきます。書かれた内容によって成績評価において加点いたします。
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
試験講評を行うことはありません。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
[テキスト] 講義資料をmanabaのコースコンテンツから参照できるようにします。必要に応じて自分でmanabaから複写してください。条文についても、manabaのコースコンテンツに掲げるようにします。
[参考文献等] 個別のテーマに関する参考文献については必要に応じて言及します。
その他特記事項
他学部からの履修が増えておりますので、履修上の注意事項として、下記を特記致します。履修を検討される場合、他学部の方を含めて、あらかじめご承知ください。
1)学期末レポート試験についての注意事項
単位取得のための学期末レポート試験においては、国際法学や国内法学の観点からの、条約や法令の条文の解釈などの、法学的な論述(法律解釈論)が求められます。試験の課題およびレポート形式も出題者から指定がなされ、その指定に従って書かれたレポートでなければ、単位取得できません。自由論題ではなく、また自由形式でもありませんので、ご承知ください。
2)成績評価において、平常点は問いませんが、対面の授業の回には、授業時間中にコメントシートを配布し、コメントシートに授業での質問事項に対して御自身の立場からの解釈や意見などを書いていただきます。書かれた内容については、成績評価においては、考慮いたします。教室に来てもコメントシートにほとんど何も書いていない、または、ほとんど意味のない意見しか書いていない場合などには、マイナス評価を受ける場合がありますので、ご承知ください。
3)法学部の設置科目ですので、法学部で開講されている基本的な法学科目を履修済みであることを、講義を受ける場合の前提としています。他学部の履修がほとんど無かった場合にはシラバスに記載しておりませんでしたが、上記を前提条件と致しますので、履修登録の際には、その点にご配慮をお願い致します。