シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門総合講座A1 日本外交の法と政治1(外交の現場から) | 2025 | 春学期 | 土2 | 法学部 | 阿部 祐一朗、伊藤 麻裕、尾﨑 久仁子、小澤 裕輔、小島 千枝、坂本 紗恵子、澤田 聡子、萩原 和、 | アベ ユウイチロウ、イトウ マユ、オザキ クニコ、オザワ ユウスケ、コジマ チエ、サカモト サエコ、サワダ サトコ、ハギハラ カズ、マツシマ シュン 他 | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL1-025L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義においては、外交の現場に実際に日々携わっている外交官がローテーションで授業を担当し、今日の国際社会における主要な問題、日本外交が直面する課題や各国との関係について、外交実務においてどのように「国際法を使う」のかという観点から、講義・ケーススタディを行う。履修者の関心や問題意識に応じた授業となるよう、議論や質疑応答も積極的に導入する。
科目目的
今日の外交課題を国際法上の様々な観点から分析し、実務レベルでどのように国際法が使われているかについて理解する。
到達目標
国際法の各分野に関する基本的な知識を身に付けるとともに、様々な外交課題を国際法という切り口から分析する視角を身に付ける。
授業計画と内容
以下のテーマについて講義・ケーススタディを行う予定であるが、講師の日程やその時々の国際情勢を踏まえて変更となる可能性がある
第1回 日本外交における国際法実務(イントロダクション)
第2回 国際裁判と日本
第3回 国家責任
第4回 日米安保体制
第5回 日本の戦後処理と朝鮮半島
第6回 武力の行使
第7回 地球規模課題
第8回 尖閣諸島をめぐる情勢
第9回 海洋法
第10回 WTO紛争解決
第11回 日米経済関係
第12回 EPA・FTA交渉の実務
第13回 国際投資法入門
第14回 日中関係と国際法
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | レポートでは、問題意識を明らかにした上で分析を行い、自身の考えを論理的かつ明確に述べること。知識以上に、きちんとした分析がなされているかどうか、論理的な議論が展開されているかどうか等が評価のポイントである。 |
平常点 | 30 | 期末レポートの評価のほか、出席点等を総合的に評価する。参加型・双方向の講義中心のため、出席及び議論への参加姿勢を重視する。 欠席が5回以上となる場合には、特段の事情がない限り、原則として単位は与えない方針であるので留意のこと。ただし、レポートの提出の際に、欠席理由を疎明する書面が併せて提出される場合には、当該書面の記載内容を踏まえた上で欠席に伴う減点評価の幅を調整することとする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
本講義においては、外交の現場に実際に日々携わっている外交官が、ローテーションで授業を担当する。
第1回 外務省国際法局国際法課首席事務官として、課内業務の総括を担当
第2回 ゲストスピーカー
第3回 外務省国際法局事務官として、国際刑事裁判所(ICC)、主権免除、管轄権(域外適用)を担当
第4回 ゲストスピーカー
第5回 調整中
第6回 ゲストスピーカー
第7回 外務省国際法局事務官として、国際裁判関連業務を担当
第8回 外務省国際法局事務官として、EPA及び投資協定を担当
第9回 外務省国際法局事務官として、WTO協定に基づく紛争解決(WTO・DS)や投資家と国との間の紛争解決(ISDS)等を含む経済紛争処理を担当
第10回 外務省国際法局事務官として、人権及び保健に関する国際約束を担当
第11回 外務省国際法局事務官として、航空分野を担当
第12回 外務省国際法局事務官として、国連海洋法条約全般
第13回 外務省国際法局事務官として、海洋法や安全保障関連条約(物品役務相互提供協定)を担当
第14回 調整中
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
国際法上の論点について、現在進行中である実務の具体的内容に即して講義を行う。
第1回 イントロダクション
外務省国際法局国際法課首席事務官として、課内業務の総括を担当しており、本講座においては、イントロダクションの講義を行う予定である。法の支配に基づく国際秩序が様々な形で挑戦を受けている中で、日本の外交政策における国際法の役割・位置づけについて総論的な講義を行うことは、その後の各論についての講義にコンテクストを提供するものである。
第2回 中東
担当;ゲストスピーカー
第3回 国際刑事法
外務省国際法局事務官として、国際刑事裁判所(ICC)、主権免除、管轄権(域外適用)を担当しており、本講座においては、国際刑事法の実務を担うICCを中心とした講義を行う予定である。ウクライナ情勢、中東情勢とも関連し、ICCへの国際社会の関心が高まる中、ICCの活動の現状と見通しを取り上げつつ、国際刑事法が国際社会において果たす役割に係る講義を行う。
第4回 戦後処理
担当;ゲストスピーカー
第5回 調整中
第6回 捜査共助
担当;ゲストスピーカー
第7回 国際訴訟
外務省国際法局事務官として、国際裁判関連業務を担当しており、本講座においては、国際裁判制度を中心とした講義を行う予定である。主権国家間の様々な紛争がどのような場でどのように解決されるのか、その仕組みを理解することは、国際法に対する理解を深める上で不可欠であると考えられる。
第8回 経済法
外務省国際法局事務官として、EPA及び投資協定を担当しており、本講座においては、国際経済法についての講義を行う予定である。国際経済法は、国益と国益がぶつかった交渉の結果生まれた国際法である他、例えばある国の貿易措置が国際法上問題がないのかを検討する上での基盤となるものである。
第9回 経済紛争処理
外務省国際法局事務官として、WTO協定に基づく紛争解決(WTO・DS)や投資家と国との間の紛争解決(ISDS)等を含む経済紛争処理を担当しており、本講座においては、経済紛争処理の制度と外交課題についての講義を行う予定である。経済紛争処理は、経済条約に基づき紛争が生じる場合に、紛争の平和的解決の手段として重要な役割を持ち、経済紛争処理の理解を深めることは、現在の外交課題を理解し解決策を考える上でも有意義である。
第10回 人権
外務省国際法局事務官として、人権及び保健に関する国際約束を担当しており、本講座においては、人権に関する国際条約や国連における議論についての講義を行う予定である。人権は、国連の活動の三本柱の1つであり、多くの条約とその下での履行審査メカニズムが作られたが、近年はその概念も拡大し、様々な課題も浮かび上がっているところ、そうした経緯と現状を俯瞰することは、今後の人権外交及び人権を巡る国際的制度の在り方を考える上で有意義である。
第11回 航空
外務省国際法局事務官として、航空分野を担当しており、本講座では、民間航空分野における日本の他国及び国際機関との協力のあり方と課題についての講義を行う予定である。民間航空分野における国際的なルールは、戦前からの積み重ねの上に成り立っている一方で、国際情勢の動向や科学技術の発展による影響も見られる。身近な乗り物である航空機がいかなるルールで運航され、また、どのような課題を有しているのかにつき、国際法の観点等から理解する。
第12回 海洋法総論
外務省国際法局事務官として、国連海洋法条約全般を担当しており、本講座において海洋法総論の講義を担当する予定である。国連海洋法条約は、「海の憲法」と形容され、海における全ての活動が遵守しなければならない法的枠組みを設定していると国連総会決議や外交文書で述べられている条約であり、同条約をはじめとする国際海洋法を概観することは、四方を海に囲まれた我が国の国益の内実を探求し、海における法の支配といった我が国の外交政策を理解する上で重要である。
第13回 海洋境界画定
外務省国際法局事務官として、海洋法や安全保障関連条約(物品役務相互提供協定)を担当しており、本講座においては、海洋境界画定についての考え方及びこれに関連する我が国の外交課題についての講義を行う予定である。我が国は海洋国家でありながら、その周辺海域は一部の例外を除いて海洋境界画定がなされておらず、海洋境界画定は今後の日本外交における重要な外交課題として存在している。そうした中で、海洋境界画定に関連する国際法や我が国の現状を知ることが必要である。
第14回 調整中
テキスト・参考文献等
各講義に共通して、小松一郎「実践国際法」(信山社)の関連部分を事前に一読しておくこと。いずれの回も条約集(未購入の場合には『ベーシック条約集』(東信堂)を推薦)を持参することが望ましい。また、その他に事前に一読しておくことが望ましい参考資料については、各講義で指示する。本講義では日本をめぐる外交問題を幅広く扱うため、日頃ニュースなどで取り上げられている国際情勢や日本政府の対応について注意を払うとともに、関心のある事項については外務省ホームページ等を参照することをおすすめする。
その他特記事項
授業の工夫
この科目では、単に知識を学ぶのみならず、現役の実務家と接することにより、生きた国際法を体感することを目的としています。そのため、授業においては、各講師が積極的に受講者との双方向的コミュニケーションをとります。