シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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有機化学1 | 2024 | 後期 | 木2 | 理工学部 | 不破 春彦 | フワ ハルヒコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BC1-6A04
履修条件・関連科目等
「基礎有機化学」の内容を前提知識として講義を進める。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
有機化学反応は、極性反応、ラジカル反応、ペリ環状反応に分類され、このうち前二者について学修する。ついで、基礎的な化学反応論を学び、有機化学反応の基本的な考え方を理解する。
アルケン・アルキンは分子外側に大きく張り出したπ軌道に共有電子対を持つため、求電子試薬により攻撃されて求電子付加反応が起こりやすい。一方、有機ハロゲン化物は炭素-ハロゲン結合の分極した性質に基づき、求核置換反応や脱離反応が起こるほか、有機金属カップリング反応へ応用される。本授業ではそれらを学ぶことによって有機化学の体系を修得するための基礎を作る。
なお、本授業では教科書「マクマリー有機化学 第9版 上」の6章~10章の内容を主に扱う。
科目目的
本授業では、有機化学反応の分類と基礎的な化学反応論について学修したのち、アルケン・アルキンの求電子付加反応、および有機ハロゲン化物の反応を中心に、これら有機化合物の基本的な化学的性質を理解するとともに、それらを利用した合成反応の組み立てができるようになることを目的とする。
到達目標
(1) 有機化学反応における反応の分類(極性反応、ラジカル反応、ペリ環状反応)、前二者の反応様式の考え方を理解し、反応機構を巻矢印で説明できること。
(2) 有機化学反応の生成物を予測するための基礎的な化学反応論を理解していること。
(3) アルケン・アルキンの基本的な物性や反応性を理解し、主要な反応における生成物を予測できること。また、アルケン・アルキンの反応の中心である求電子付加反応について、巻矢印を用いて反応機構を説明できること。
(4) 有機ハロゲン化物の合成と反応、有機金属カップリング反応を反応機構を含めて理解すること。
(5) アルケン・アルキンの求電子付加反応や有機ハロゲン化物の反応を利用した多段階合成反応の組み立てができること。
授業計画と内容
第1回 有機反応の概観:極性反応とラジカル反応
第2回 有機反応の概観:求核剤と求電子剤
第3回 有機反応の概観:有機化学反応論
第4回 アルケンの基本的性質の復習
第5回 アルケンの反応:H-X型求電子剤による求電子付加反応とマルコフニコフ則
第6回 アルケンの反応:ハモンドの仮説、カルボカチオンの転位反応
第7回 アルケンの反応:さまざまな求電子剤との反応
第8回 アルケンの反応:酸化と還元
第9回 アルケンの反応:ラジカル反応によるポリマー合成、付加反応の立体化学
第10回 アルキンの構造、アルキンの求電子付加反応
第11回 アセチリドイオンの反応、逆合成解析
第12回 ハロゲン化アルキルの合成
第13回 ハロゲン化アルキルの反応:Grignard試薬とGilman試薬
第14回 有機金属カップリング反応
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎週の授業前後に、次の通り自己学習をするように努めてください。
(1) 各回の内容を教科書により予習する。
(2) ノートに従って授業の内容を復習し、理解度を確認する。
(3) 授業で扱った範囲について、教科書の練習問題を解いて理解度を確認する。
特に、(2)(3)のプロセスは最低限度の学習量として重要で、単位認定の目安となります。復習と問題演習で十分な理解が得られていないと思うときは、できるだけ早いタイミングで質問することが望まれる。質問はオフィスアワーやmanabaの個別指導コレクションを利用してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | (1) 有機化学反応における極性反応とラジカル反応それぞれの反応様式の考え方を理解し、反応機構を巻矢印で説明できるか。 (2) 有機化学反応の生成物を予測するための基礎的な化学反応論を理解できているか。 (3) アルケン・アルキンの基本的な物性や反応性を理解し、主要な反応における生成物を予測できるか。また、アルケン・アルキンの反応の中心である求電子付加反応について、巻矢印を用いて反応機構を説明できるか。 (4) 有機ハロゲン化物の合成と反応、有機金属カップリング反応を反応機構を含めて理解しているか。 (5) アルケン・アルキンの求電子付加反応や有機ハロゲン化物の反応を利用した多段階合成反応の組み立てができるか。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
各回の資料・課題の解答などは、manabaにアップロードされます。各回の授業の終わりに、responで質問や感想を受け付けます。授業時間外の質問対応は、随時、オフィスアワーまたはmanabaの個別指導コレクションにより行います。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:J. McMurry著、伊東・児玉ら訳 「マクマリー有機化学 第9版 上」(東京化学同人、2017年、ISBN: 9784807909124)
参考文献:K. P. C. Vollhardt, N. E. Schore 著、古賀、野依、村橋 監訳「ボルハルト・ショアー 現代有機化学 第8版 上」(化学同人、2019年、ISBN: 9784759820294)
ボルハルト・ショアー現代有機化学は、マクマリー有機化学よりも説明が詳細だがやや内容が高度。マクマリー有機化学を読んでいて説明が不十分であると感じた点や、疑問を感じた点を調べるのに使うとよい。理工図書館に所蔵されています。
参考教材:HGS分子模型A型セット(丸善)
このほか必要に応じて演習問題の配布などを行います。
その他特記事項
本科目では、有機化合物の構造と性質や反応性との関係や、それらの自然界での生成のしかた、および人工的な化学合成法について理解する。また、人間社会での有機化合物の利用法、例えば医薬品や染料などの応用についても幅広い知識を獲得する。そして、化学を学ぶ中学生および高校生に対して化学の重要性を正しく伝えられる基礎学力を培う。
教職履修者向けには、学習指導要領(中学理科・高校理科)を参考書として挙げておく。
参考URL
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/npc/