シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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法解釈演習 A | 2025 | 秋学期 | 火1 | 法学部 | 阪井 大 | サカイ ダイ | 1年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-AD1-002S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業では法的な・論理的な思考力を養成することを目的とする。
指定テキストを使用することで基礎を養った上で、動画や事例問題などを通じて身近な法律問題を掘り下げて分析することで、反対の立場を意識しながらの立論ができるようになることを目指す。
科目目的
この科目では、実定法学(解釈学)の方法論を学び、実践することを目的とする。
法解釈演習では、まずは、1条文を探し、2これを読んで情報を整理し、3例えば条文の内容をチャート化するなどしてその正確な理解を図り、4あてはめを行うという「文字通りの適用」のプロセスを正確に行うことができるようになることを目的とする。そして、こうした「文字通りの適用」によってでてくる結論について、5総合的な考察によりその妥当性を評価し、妥当ではない場合に6発展的な解釈(拡張解釈・縮小解釈・類推解釈等の解釈技法や、条文の削除や補正や追加といった方法)を駆使し、妥当な結論にいたる法解釈を行うことができるようになることも、さらなる目的とする。
この科目では、1から4のプロセスを確実に進めることができることをまずは学ぶ。その上で、5と6ついて、いわば「いったりきたり」、試行錯誤しながら妥当な結論にいたるより良い解釈が何であるかを考えるという思考ができるようになることも目指す
到達目標
まず第一に、上記の方法論の全体像をつかむこと。そして第二に、適用される条文が示されている状況にあって、その条文を事案にあてはめて結論をだすことができること、つまり、「文字通りの適用」(上の図の1・2・3・4)ができるようになること。第三に、論点について、議論の対立状況を整理できること。第四に、論点について、さしあたり一つの見解を自らの見解として論拠を示して展開できること、すなわち、5と6を体験してみること。もちろんこの最後の段階は、初年次では体験にとどまるのであって、本格的にこれをするのは専門演習が担うべきことといえるが、法学部における法律学教育の目標がどこにあるかを早い段階で具体的に見せておくことが必要であり、初年次の段階で少なくとも体験しておくことは必要であると考える。
授業計画と内容
第 1 回 法の解釈の概要の説明 テキスト第 1 部 第 1 章〜第 3 章
第 2 回 動画鑑賞・それを踏まえたディスカッション
第 3 回 条文を探す テキスト第 II 部 第 1 章〜第 3 章
第 4 回 条文を読む(1) 条文を要件と効果にわける テキスト第 II 部第 4 章
第 5 回 条文を読む(2) 条文をフローチャート化する テキスト第 II 部第 5 章
第 6 回 条文を読む(3) 定義を明らかにした上で、適用を行い、結論をだす。テキスト第 II 部第 6 章
第 7 回 包摂と文章化(1) テキスト第 II 部第7章
第 8 回 包摂と文章化(2) 第 7 回とは別問題に取り組む
第 9 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション A
第 10 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション B
第 11 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション C
第 12 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション D
第 13 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション E
第 14 回 事例問題とそれを踏まえたディスカッション F
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外での課題は無し。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 毎回の課題の取り組み状況 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
●経歴
2010年3月
中央大学法学部 卒業
2012年3月
東京大学法科大学院 卒業
2012年11月
最高裁判所司法研修所 入所(66期)
2014年1月
TMI総合法律事務所 入所
2017年4月
東京双和法律事務所 加入
2021年3月
大江・田中・大宅法律事務所 開設
●経験・役職等
弁護士になって10年以上、主に企業法務、事業再生・事業承継及びM&A関連の分野に携わっています。
これまでに務めた主な役職等は以下のとおりです。
・認定経営革新等支援機関
・東京都中小企業活性化協議会 登録専門家
・神奈川県中小企業活性化協議会 登録専門家
・「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に係る第三者支援専門家候補者
・上場企業に設置された第三者委員会の委員、社外役員等
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
私の普段の弁護士業務は、企業法務を中心としつつ、「法務」の領域に限らず、経営・ビジネス全般についてアドバイスすることが多いです。
私自身は「プロ経営者」のような高度なビジネス感覚・センスを持ち合わせているわけではありませんが、法的・論理的思考力を前提にした議論ができることによって、経営者と同じレベル感での議論が可能になっていると思います。
法的・論理的思考力は、将来どのような仕事に就いても有意義だと思いますので、本授業を通じて皆さんにそれを体得いただき、社会に出た後に、本授業を思い出してもらえるような有意義な授業をしたいと思います。
また、(人選や日程調整等の関係もあるため確約まではできませんが、可能であれば)法律家以外の職業のゲストスピーカーを呼び、法学部で学んだ法的思考力がどのような場面で有効活用できているかを紹介してもらいたいと思います。
テキスト・参考文献等
テキスト
森光『法学部生ための法解釈学教室』(中央経済社・2023 年)