シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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政治過程論2 | 2025 | 秋学期 | 水5 | 法学部 | 宮本 太郎 | ミヤモト タロウ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS2-009L
履修条件・関連科目等
とくに特定の科目を指定しませんが、政治と行政の制度について、日本と欧米の政治について、政治的対立の背景にある思想やイデオロギーについての科目を幅広く履修しておくことが望まれます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
政治過程論は、政治を形式的な制度としてより、生々しい実態・過程として、利益集団、政党、官僚制、メディアなど幅広いアクターの動向を含めて分析する学問です。政治過程論2では政治過程論1で説明した日本型生活保障をめぐる政治過程をふまえて、その改革をめぐる政治過程を論じます。まず、日本における介護、育児、貧困の諸政策・制度をめぐる改革動向を振り返ります。次いで、日本型生活保障に代わるモデルとしてしばしば取り上げられる、スウェーデンとアメリカの生活保障とその政治過程を明らかにします。
科目目的
近年の政治学では、政治過程のあり方をとらえる上で、政治経済の多様な制度のあり方(とくに福祉雇用レジーム)が重要であることが強調されています。
この講義では、昨今の政治過程の中心となっている生活保障(社会保障と雇用)をめぐる政治過程に焦点をあて、レジームの相違が政治過程をいかに制約し、政治過程がレジームをどう変えているのか、その相互作用を明らかにします。政治過程論1の続きです。
到達目標
政治過程は法や政策が形成され執行される過程を政治的側面からとらえる。同時に、法や政策を生成過程から動態的にとらえて、その現状と課題を示すことにもつながる。この講義は、生活保障をめぐる政治過程について、学生が政治過程論1で扱った日本の事例を基礎に、さらに国際比較の観点から理解していくことを目指す。とくに日本の生活保障をめぐる政治を、高度福祉国家として知られるスウェーデンの事例、逆に市場主義的な国家とみなされるアメリカの事例と比較し、どのような政治の違いが、生活保障の分岐を生み出したかを考える。そして各国の経験をふまえつつ、日本の生活保障と政治の将来をどのように展望するか、学生がそれぞれの考え方を形成していくことを到達目標とする。
授業計画と内容
1.プロローグ 政治過程論1をふまえて
2.日本型生活保障の改革をめぐる政治
3.日本型生活保障の改革と子ども子育て新制度
4.日本型生活保障の改革と生活困窮者自立支援制度
5.生活保障の改革と女性
6.国際比較のなかの日本型生活保障
7.合意形成型民主主義と生活保障
8.スウェーデンにおける生活保障の確立
9.スウェーデンにおける政治転換と生活保障の困難
10.多数派形成型民主主義と生活保障
11.アメリカにおける福祉爆発と福祉反動
12.アメリカの生活保障と政治分断
13.レジーム再編と非営利セクター
14.生活保障の展望と交差点型社会
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
レジュメを事前に読み込んでおくこと。ほぼ毎回、講義終了後にレスポンで簡単な課題やアンケートに回答してもらいます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 政治過程論の知識をどれだけ身につけたか、またいかに活用できるかを評価します。 |
レポート | 20 | 800字以内の短いレポートを一度か二度提出してもらいます。 |
平常点 | 20 | レスポンでの講義参加の程度を評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
ほぼ毎回、講義のなかでレスポンでの学生の回答に対してリプライをします。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
内閣府参与、総務省顧問、男女共同参画会議議員、社会保障審議会委員等
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
政策過程の実際についての知見を講義に活かす。
テキスト・参考文献等
レジュメと資料を配付して講義をすすめます。宮本太郎『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』朝日新聞出版を読んでおくことを薦めます。
【参考書】
宮本太郎 『福祉国家という戦略 スウェーデンモデルの政治経済学』法律文化社。
宮本太郎 『社会的包摂の政治学 自立と承認をめぐる政治対抗』ミネルヴァ書房。
その他、参考文献はレジュメのなかでも紹介します。