シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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生体物質機能学 | 2024 | 前期 | 土1 | 理工学部 | 瀧川 正紀、佐々木 康弘、早舩 美保子 | タキガワ マサキ、ササキ ヤスヒロ、ハヤフネ ミホコ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BI3-9C15
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
生体内では様々な生体物質が生理機能の維持に寄与している。生体物質と生理機能のバランスが崩れた際、生体は「病気」となる。この崩れたバランスを「薬」という体外物質が整えることで、病気を治療、または症状を緩和する。例えば、インスリンというホルモンは血糖値を下げるが、何らかの原因でインスリンの分泌が不足すると血糖値が高値となり、糖尿病になる。そこに治療薬としてスルホニル尿素薬を投与すると、膵β細胞表面にあるスルホニル尿素受容体に結合し、ATP感受性カリウムチャネルを閉鎖することでインスリン分泌を促し、結果として血糖値が下がる。このように、生理機能と生体物質の均衡が保てなくなった時に生体に起こる事象、また薬によりその不均衡がどのように是正されるかを理解することは、生理機能を深く理解する一助になると考える。そこで本講義では、薬理学の考え方を切り口として、生体物質と生理機能の関係について理解することを目的とする。講義では、薬理の基礎となる生理学について概説し、その後学んだ生理学に基づいた薬理学の各論について解説する。薬理学で扱われる疾患は広範囲に及ぶため、全てを扱うことは困難であるが、比較的身近な疾患、薬をピックアップする予定である。また、薬の相互作用、副作用、身近な薬についても概説し、「薬の世界」にも少し触れていただく予定である。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の基礎生物学科目として位置付けられている。この科目での学習を通じて生体物質の機能に対する基礎的な知識を習得、さらには生理機能に関する理解を深めることを目的とする。
到達目標
多くの薬は、疾患(病気)に関する生体物質に作用し、効果を発揮する。そこで本講義では、正常な体内での生理機能を理解した上で、病気の時に起きている事、また薬という物質の作用により、生体にどのような変化がもたらされるか、そのメカニズムを理解することで生体物質・生理機能の理解を深めることを目標とする。また、薬の相互作用、副作用、身近な薬についても、生体物質との関連を交えながら講義を行い、生理機能への理解を深めることを目標にする。
授業計画と内容
1. ガイダンス: 「薬」について
2. 薬理の基礎:受容体と薬物、シグナル伝達
3. 薬理の基礎となる生理学①:血圧・血糖値
4. 薬理学各論①:高血圧薬・糖尿病治療薬
5. 薬理の基礎となる生理学②:消化器
6. 薬理学各論②:消化器作用薬
7. 薬理の基礎となる生理学③:いたみ・精神神経
8. 薬理学各論③:鎮痛薬・精神神経薬
9. がんと抗がん剤
10. 一般用医薬品
11. 病原微生物と抗生物質
12. 薬物動態
13. 薬の相互作用
14. 薬の副作用
※担当教員:1.~6.瀧川、7.~10.早舩、11.~14.佐々木
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前に講義資料を配布するため、一読して授業に臨むこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 40 | 1~6回目までの内容について理解度を確認します。 |
期末試験(到達度確認) | 40 | 7~14回目までの内容について理解度を確認します。 |
平常点 | 20 | 授業への参加・貢献度、受講態度(意⾒の表明、他の学⽣と協調して学ぶ態度等)の状況を基準とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
2010年~病院薬剤師
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
本授業は3人の教員で分担して担当する。担当教員それぞれが病院薬剤師として、患者や医師などと関わりながら薬物治療に関与してきた経験を有している。薬物治療の基礎には薬理学が存在する。講義内容で扱う薬の相互作用や副作用に関する医療現場での経験を豊富に有する。薬物動態を基礎とした薬物投与設計を行い、医師と協議の元、患者に適応してきた経験を有するのみならず、それに基づく研究活動も行ってきた。これらの経験を基に、薬理学やその他の知識がどのように実際の医療現場で生かされているかについても講義の中で紹介する。
テキスト・参考文献等
講義資料を配布するため、テキストは指定しない。
学習内容を深めたい場合のため、以下の参考図書を記載するが、以下のリストは一部である。興味のある分野・内容に適した図書を推薦したいと考えているため、参考図書購入時は一度相談して欲しい。
参考図書
丸山 敬 休み時間の薬理学 第3版:講談社、2021年出版、第3版 ISBN: 978-4065238103
田中 千賀子 (編集),NEW薬理学(改訂第7版) :南江堂、2017年出版、第7版 ISBN: 978-4524261758
平井 みどり (編集) 薬物治療学(第2版) :化学同人、2019年出版、第2版 ISBN: 978-4759816297
佐藤 ユリ (著, 編集) どんぐり未来塾の薬物動態マスター術 第2版:じほう、2019年出版、第2版 ISBN: 978-4840752022
日本臨床腫瘍薬学会 (編集) 臨床腫瘍薬学 第2版:じほう、2022年出版、第2版 ISBN: 978-4840754552