シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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基礎演習1 | 2025 | 春学期 | 水2 | 法学部 | 工藤 潤 | クドウ ジュン | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-001S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
学生の皆さんが学んでいる大学は、社会システムの一部として、教育、研究、社会貢献といった機能を通じて、社会全体の発展に寄与する重要な役割を果たしています。では、大学教育はどのような法構造によって支えられているのでしょうか。また、大学を規制する規範は大学の質の維持・向上や質保証の観点からどのような内容になっているのでしょうか。
わが国の大学制度は、各大学の「自治」や「自律性」の保障のもと、各大学が掲げる使命・目的に則して、特色ある教育研究活動を展開しその質の維持・向上に努めていくことが期待されています。大学教育を規律する規範は、大学・学部の設置認可等の事前規制を主に規律する国法と、事後規制(※)については、国と相対的に独立した機関・団体が大学教育の質保証を行うための国法と調和した自由度のある自主規範の二層構造となっている点に特徴があります。
本授業科目では、大学教育を支える法構造とその内容を学ぶとともに、事前規制と事後規制の関係を理解した上で、現在の大学教育の規制のあり方の是非について議論します。
授業は、講義だけでなくディスカッションやグループワークを取り入れます。
※事後規制の一つに、学校教育法で定められている認証評価制度があります。認証評価とは、文部科学大臣が認証した評価機関(認証評価機関)による評価のことで、すべての大学、短期大学及び高等専門学校は、この認証評価機関の評価を定期的に受けることが義務づけられています。
科目目的
本授業科目では、わが国の学制の最終の教育段階にある大学教育を支える法構造について理解するとともに、大学に関する規制規範を大学教育の質保証の観点からその内容を学んでいきます。また、現在の大学教育の規制のあり方の是非をめぐってディスカッションやグループワークを行い、そのことを通じて問題解決能力や批判的・創造的態度の涵養を目指します。
到達目標
法学部法律学科では、学生に次のような具体的な知識・技能・態度の修得を期待しています。
1.「基礎的な法的知見」:法学を中心とした社会に対する体系的理解に基づき、現実に起こる具体的な紛争・問題における利益対立の状況を分析することができる。
2.「問題解決能力」:具体的な紛争・問題に対してバランスのとれた法解釈を提示する能力を基盤として、その知見を新しい立法の提案、契約書など合意文書の作成、組織内の規則の作成などに結びつけることができる。
3.「批判的・創造的態度」:既存の学問的成果を習得しつつも、真摯な批判的態度をもって学び、新たな創造に向かうことができる。
この科目では、具体的に以下の目標を設定します。
①大学制度に関する規範構造とその基礎的内容を理解できる(基礎的な法的知見)。
②現在の大学教育の規制のあり方の是非に関し、ディスカッションやグループワークを通じて課題を発見し、改革方向を提示できる能力を身につけることができる(問題解決能力及び批判的・創造的態度)。
授業計画と内容
前期
第1回 オリエンテーション、基礎演習の目的と目標について、自己紹介
第2回 大学制度に関する規範とその構造
第3回 大学の自治
第4回 大学の設置認可システム(大学設置基準と設置審査)
第5回 大学に関する法令(1)(大学の目的に関すること)
第6回 大学に関する法令(2)(学生に関すること)
第7回 大学に関する法令(3)(教育研究組織に関すること)
第8回 大学に関する法令(4)(教育・学修の内容・方法に関すること)
第9回 大学に関する法令(5)(大学の管理運営に関すること)
第10回 大学に関する法令(6)(大学教育の質保証(事前規制と事後規制)に関すること)
第11回 国法と認証評価制度の関係
第12回 わが国の大学教育の規制のあり方の是非と改革方向(前半)(グループワークと発表)
第13回 わが国の大学教育の規制のあり方の是非と改革方向(後半)(グループワークと発表)
第14回 総括・まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前にレジュメをお配りしますので、それに目を通したうえで授業に参加してください。また、関連の文献や資料があればそれも事前に紹介しますので、読み込んでおいてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 授業内容や関連資料の分析を通じて、自らの考えを体系的にまとめることができているかが、成績評価の基準となります。 |
平常点 | 50 | 授業の討議参加、発表準備・内容、リアクションペーパーなどで総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
レジュメの事前配付、リアクションペーパーの提出は、manabaを活用します。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
公益財団法人大学基準協会に在籍(1988年4月から2025年3月まで勤務。大学基準協会では、2008年から大学評価研究部長、2012年から事務局長、2023年から常務理事。また、2018年から大学基準協会に設置される「大学評価研究所」の特任研究員)。
大学基準協会在籍中は、大学質保証システムの開発と評価実践、諸外国の大学質保証システムの調査研究、わが国の質保証システム(大学設置基準、大学設置審査、設置計画履行状況等調査、認証評価)の調査研究に従事。
また、2005年4月から2008年3月まで、文部科学省設置計画履行状況等調査委員会専門委員を歴任。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
大学制度に関する規範とその構造、大学の設置認可システム、大学に関する法令等については、大学基準協会在籍時における実務経験を踏まえ授業を行います。
テキスト・参考文献等
<レジュメ、資料>
毎回の授業の前に、レジュメを配付する。
また必要に応じて、関連資料を配付する。
<参考文献>
➀鈴木勲編『逐条 学校教育法』(第9次改訂版)学陽書房,2022年8月
②早田幸政・堀井祐介「第12章 高等教育法」,植野妙真子・宮盛邦友編『現代教育法』日本評論社,2023年3月
③飯島宗一・戸田修三・西原春夫編『大学設置・評価の研究』東信堂,1990年6月