シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基礎演習2 | 2025 | 秋学期 | 水2 | 法学部 | 工藤 潤 | クドウ ジュン | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-002S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
学生の皆さんが学んでいる大学は、社会システムの一部として、教育、研究、社会貢献といった機能を通じて、社会全体の発展に寄与する重要な役割を果たしています。では、この大学という高等教育機関は、戦後、国の政策のもとでどのように発展してきたのでしょうか。
わが国の戦後の高等教育政策は、民主化を基盤にしつつ、社会経済の発展、科学技術の高度化、グローバル化の進展などに応じて変遷を遂げてきました。特に、1950年代半ばからの日本経済の急成長により、高等教育への進学需要が急増し、高等教育の大衆化が進展し、政府の高等教育政策が策定され、高等教育の量的整備と質的充実が進められました。また、高等教育への進学率が50%を超える、いわゆる「ユニバーサル段階」に突入し、高等教育の多様化が一層推進することになりました。一方、近年の少子化の進展、デジタル化の推進、地域間格差の顕在化等は、新たな課題を生み出しています。
本授業科目では、戦後期から近年までにおいて講じられてきた高等教育政策について、政府審議会の答申や審議まとめ、それに伴う法令の制定・改正等をもとに、当時の高等教育の現状や課題、改革方策等を考察します。
授業は、講義だけでなくディスカッションやグループワークを取り入れます。
科目目的
本授業科目では、戦後から近年までの高等教育政策の展開について、歴史的にその変遷を辿り、その意義や課題を学んでいきます。また、これまで公表されてきた高等教育政策に関する政府審議会の答申や審議まとめ、また、これらに基づく法令の制定・改正等について、その概要を把握・分析し、それをもとに資料の作成・発表などのスキルを修得することを目指します。
到達目標
法学部法律学科では、学生に次のような具体的な知識・技能・態度の修得を期待しています。
1.「基礎的な法的知見」:法学を中心とした社会に対する体系的理解に基づき、現実に起こる具体的な紛争・問題における利益対立の状況を分析することができる。
2.「問題解決能力」:具体的な紛争・問題に対してバランスのとれた法解釈を提示する能力を基盤として、その知見を新しい立法の提案、契約書など合意文書の作成、組織内の規則の作成などに結びつけることができる。
3.「批判的・創造的態度」:既存の学問的成果を習得しつつも、真摯な批判的態度をもって学び、新たな創造に向かうことができる。
この科目では、具体的に以下の目標を設定します。
①戦後から近年までの高等教育政策とそれに基づく法令の制定・改正の意義について理解できる(基礎的な法的知見)。
②これまで公表されてきた高等教育政策に関する政府審議会の答申や審議まとめ等について、ディスカッションやグループワークを通じて、その概要を批判的に把握・分析し、それをもとに資料の作成・発表などのスキルを修得できる(問題解決能力及び批判的・創造的態度)。
授業計画と内容
後期
第1回 秋学期の授業概要、授業の進め方
第2回 戦後期の高等教育政策(1)(第一次米国教育使節団報告書の概要と意義)
第3回 戦後期の高等教育政策(2)(大学基準協会の創設と大学基準の設定、大学設置基準(文部省令)の制定)
第4回 「大衆化段階」の高等教育政策(1)(「高等教育計画」策定の背景とその内容、私学政策)
第5回 「大衆化段階」の高等教育政策(2)(高等教育の個性化・高度化と大学設置基準の抜本的見直し)
第6回 大学のユニバーサル化と規制改革下の高等教育政策の変容(1)(各種大学審議会答申と法改正の概要)
第7回 大学のユニバーサル化と規制改革下の高等教育政策の変容(2)(官邸主導の規制改革、行財政改革と大学改革の進展)
第8回 大学のユニバーサル化と規制改革下の高等教育政策の変容(3)(認証評価制度と同制度改革)
第9回 高等教育の質的転換の必要性(1)(新たな高等教育の将来像、高大接続改革)
第10回 高等教育の質的転換の必要性(2)(3つのポリシーの設定と学習成果の測定・評価)
第11回 高等教育の質的転換の必要性(3)(学修者本位の教育の実現、学びの質保証と学習成果の可視化)
第12回 ディスカッション(ゼミとしての成果を全員でまとめる方向で議論)
第13回 グループワーク(ゼミとしての成果を全員でまとめる方向で議論)
第14回 総括・まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前にレジュメをお配りしますので、それに目を通したうえで授業に参加してください。また、関連の文献や資料があればそれも事前に紹介しますので、読み込んでおいてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 50 | 授業内容や関連資料の分析を通じて、自らの考えを体系的にまとめることができているかが、成績評価の基準となります。 |
平常点 | 50 | 授業の討議参加、発表準備・内容、リアクションペーパーなどで総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
レジュメの事前配付、リアクションペーパーの提出は、manabaを活用します。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
公益財団法人大学基準協会に在籍(1988年4月から2025年3月まで勤務。大学基準協会では、2008年から大学評価研究部長、2012年から事務局長、2023年から常務理事。また、2018年から大学基準協会に設置される「大学評価研究所」の特任研究員)。
大学基準協会在籍中は、大学質保証システムの開発と評価実践、諸外国の大学質保証システムの調査研究、わが国の質保証システム(大学設置基準、大学設置審査、設置計画履行状況等調査、認証評価)の調査研究に従事。
また、2005年4月から2008年3月まで、文部科学省設置計画履行状況等調査委員会専門委員を歴任。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
大学制度に関する規範とその構造、大学の設置認可システム、大学に関する法令等については、大学基準協会在籍時における実務経験を踏まえ授業を行います。
テキスト・参考文献等
<レジュメ、資料>
毎回の授業の前に、レジュメを配付する。
また必要に応じて、関連資料を配付する。
<参考文献>
➀大崎 仁『大学改革1945~1999』有斐閣,1999年11月
②黒羽亮一『戦後大学政策の展開』玉川大学出版部,1993年3月
③生和秀敏編『大学評価の体系化』東信堂,2016年10月