シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
専門演習A1 | 2025 | 春学期 | 水5 | 法学部 | 中島 康予 | ナカジマ ヤスヨ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-015S
履修条件・関連科目等
履修条件は特に設けませんが、各自が興味関心のあるテーマを取り上げている他の講義を積極的に履修したり聴講してください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
テーマ:セキテュリティとケアの政治
セキュリティは、不安や心配からの自由をもたらす行為を意味します。能力についてあまり差異のない個人がそれぞれの自由を追求すると、互いの存在が互いの生命を脅かすかもしれない、そのような不安や心配をとりのぞき、安全を保障する義務を果たす主権国家が要請されました。1990年代以降進行したグローバル化は主権国家の足元を揺さぶり、セキュリティを担保してきた既存のシステムの変容を迫ることになりました。他方、このグローバル化によって引き起こされたCOVID-19の感染拡大は、国境という境界線を復活させるとともに、人々の不安や心配をとりのぞくケア(配慮/気遣い/世話/支え)という行為(「エッセンシャルワーク」と呼ばれる行為をめぐる人と人の関係)とその現在地を可視化しています。
このゼミでは、セキュリティとケアをめぐる問題について、実証研究と政治哲学(政治理論)という2つのアプローチを理解するとともに、一人一人の個人が、世界でできるだけよく生きるために、この世界を維持し、継続させ、そして修復するために必要な政治(政策を含む)とはどのようなものなのかについて考えていきます。
3年次の春学期には主として文献講読を通して、さまざまな理論と現状の認識・知識・理解を共有した上で、秋学期以降は、ゼミ員が各自の関心に沿って論文作成を行います。ゼミを、大学における学修の総仕上げとして演習論文執筆というゴールを共有するメンバーが切磋琢磨する空間・時間にしていきたいと思います。
科目目的
専門演習は少人数の受講者がインタラクティブな学修の場です。下級年次で学修してきた、グローバルな法化社会を読み解くことができる「基礎的な法律的・政治的専門」を基礎にして、本演習では、セキテュリティやケアをめぐる先行研究の講読、内容を理解し、レジュメを作成すること、ゼミ員と共有すべき疑問を整理し、議論すべき論点を提示する、という作業を行います。この過程を通して、自立した地球市民として必要な、批判的・創造的考え方ができる「新たな教養」を身につける基礎をつくっていくことが目的です。
到達目標
第1の目標は、文献を講読し、その内容を理解し、レジュメを作成すること、ゼミ員と共有すべき疑問を整理し、議論すべき論点を提示する、議論を進めるための論点整理を行う力を身につけることです。
第2の目標は、文献講読等を通じて、ゼミ員個人が興味・関心をもつテーマを探究し、できれば、これを明確にし、絞り込んでいくことにあります。
学期の最後には、秋学期以降とりくむ演習論文のテーマ選択や、文献収集の方法などについて理解し、夏休み・秋学期における論文執筆のための研究・調査を円滑に進めるための準備をすることを
授業計画と内容
第1回 演習における学修と論文執筆の意義
『社会政策の考え方』
第2回 序章、第1章 資本主義、市民権、連帯
第3回 第2章 社会政策の発展を説明する
第4回 第3章 各国を分類する
第5回 第4章 社会政策におけるアイディアの役割を重視する
第6回 第5章 社会的排除、新しい社会的リスク、社会的投資
第7回 第6章 福祉レジームが輪郭を与えるジェンダー規範の変化
第8回 第7章 社会政策と多様性をめぐる政治
第9回 第8章 グローバル化と社会政策、終章
アイリス・マリオン・ヤング 『正義への責任』
第10回 第一章 自己責任から政治的責任へ
第11回 第二章 正義の主題としての構造
第12回 第四章 社会的つながりモデル
第13回 第五章 国境を越える責任
第14回 論文とは何か
よく調べられた論文とコピペ論文のちがい、文献収集、文献リストの作成、注の付け方
夏休みの課題提示
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
平常点 | 100 | レジュメやコメントペーバーの作成、それらの内容、議論への参加度やその内容に基づき、総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
ゼミ(演習)は継続的・積極的な参加が必須の科目です。合理的な理由のない欠席(無断欠席等)は行わないでください。継続的な参加が見込めない場合は、応募を控えてください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
実際に講読する文献については学期のはじめに確定します。
目下のところの講読予定文献は以下の通りです(今後公刊される書籍に変更する可能性があります)。
ダニエル・ベラン、リアン・マホン(上村泰裕訳)2023『社会政策の考え方-現代世界の見取図』有斐閣.
岡野八代 2012『フェミニズムの政治学』みすず書房.
参考文献は適宜指示します