シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A2 | 2025 | 秋学期 | 水2 | 法学部 | 宮本 太郎 | ミヤモト タロウ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-016S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
人口減少がすすむなか、地方消滅の危機も叫ばれている。その背景は、現役世代の
生活困難であり、「支える側」の現役世代が数の上でも経済力においても弱まっている
なかで、「支えられる側」とされる高齢者が増大するという事態である。こうした事態
は長い間に進行してきたものであり、これまでの政治や政策の抜本的な刷新がなけれ
ば、危機から脱却することは困難である。持続可能な地域と社会をつくる生活保障(社
会保障と雇用)のあり方、そのような生活保障を実現するまちづくりのかたちが問わ
れている。
このゼミでは、人口減少時代における社会保障や雇用をめぐる政治と政策を論じて
いく。具体的には以下の3つの視点からアプローチする。
(1)戦後日本において、社会保障と雇用すなわち生活保障をめぐる政治(福祉政治)
がどのような変遷をとげ、いかなる生活保障を実現してきたか。現役世代支援が欠落
し、人口減少危機を促進してしまったのはなぜかを振り返る。
(2)日本の地方・地域でどのような事態が進行しているのか。人口減少のなかのま
ちづくり、地域活性化に成功しているケースとしてはどのようなものがあるか。そこ
からいかなる経験を引き出すことができるかを検討する。様々な地域からゲストを招いて
講演していただくなど、現場からの情報をゼミに取り入れていくことを重視している。
(3)国際比較や地域の経験から、持続可能なまちづくりのためにいかなる処方箋が
ありうるのか、そのような政策や制度を実現する政治のかたちはどのようなものかを
検討する。
科目目的
卒業後、中央・地方の公務員を目指すのであれ、民間企業を志望するのであれ、人
口減少のすすむ地域社会で、人々の生活がどう変化し、いかなるニーズが生じている
か、地域持続のためにどのような対応が必要かを理解していくことが不可欠になる。
官民を問わず求められる現実的問題の具体的解決(パブリックソリューション)を構
想する力を身につけていく。
到達目標
いかなる立場から地域形成に関わるのであれ、いきすぎた縦割りの仕組みの
なかで仕事をすすめざるをえない。やがて縦割り業務の維持が自己目的のように
なってしまう。大きな社会変化のなかで当該地域固有の課題を包括的に捉えて、解決
の方向性を周囲と共有し、様々な連携を実現するなかで自らの業務を充実させ達成の
度合いを高めていくことができる力を習得することを目指したい。
授業計画と内容
演習は大きく3つのステージで構成される。第一に、ゼミ内でチームをつくり2つのチームがある分野での政策提言を競い合う「対抗型プレゼンテーション」に取り組みながら、自らの「切り口」(各自が追求していく主題の入り口にあたる当面のテーマ)を確定していく段階である。第二に、各自が自らの「切り口」との関わりでフィールドワークあるいは招待講演の準備、調査、総括をすすめていく段階である。そして第三に、フィールドワークや招待講演の総括もふまえつつ、各自の「切り口」をゼミ論文のテーマとして絞り込んでいく段階である。こうした3つのステージは、さらに具体的には以下の内容に展開していく。
下記テーマで授業をおこなう。
15 ゼミ員の研究テーマ指導 第一回目 雇用・産業政策関連
16 ゼミ員の研究テーマ指導 第二回目 まちづくり関連
17 ゼミ員の研究テーマ指導 第三回目 コンパクトシティ関連
18 ゼミ員の研究テーマ指導 第四回目 生活困窮問題関連
19 ゼミ員の研究テーマ指導 第五回目 育児支援と女性問題関連
20 ゼミ員の研究テーマ指導 第六回目 高齢社会関連
21 ゼミ員の研究テーマ指導 第七回目 海外事例関連
22 雇用・産業政策関連の報告と討議
23 まちづくり関連の報告と討議
24 コンパクトシティ関連の報告と討議
25 生活困窮問題関連の報告と討議
26 育児支援と女性問題関連の報告と討議
27 高齢社会関連の報告と討議
28 海外事例関連の報告と討議
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | プレゼンテーションへの取り組みと討論参加 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当者自身は、内閣府参与、総務省顧問や各種審議会委員、社会保障審議会部会長、男女共同参画会議議員、評価委員等の経験がある。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
政策形成過程についての経験的知識はそのまま地域づくりの実践に活かすことができる。また実務的経験をとおして知り合った行政官や実践家を招いてレクチャーをお願いしている。
テキスト・参考文献等
主要テキストは、宮本太郎『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(朝日新聞出版)および宮本太郎『共生保障 「支え合い」の戦略』(岩波新書)となる。開講時に文献を紹介する。