シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A2/専門演習B2 | 2025 | 秋学期 | 木4 | 法学部 | 青木 裕子 | アオキ ヒロコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-016S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本ゼミは、「政治思想史」という学問分野の枠組みの中で、次のような能力を養うことにあります。
① 専門的な知識を積み重ねるために、本や資料を読む力、
② 論理的に思考する力、
③ 他者に向けて説明する力、
④ 現実の社会の問題に向き合うための広い視座、
⑤ 社会に対して自分なりの問題意識を持つ力、
⑥ 勉強や議論を通じて他者の意見を参照することによって、自分の意見を相対化し、よく吟味しつつ議論する力、
これらの能力を養うことよって、未来を担う皆さんが、自由な社会の実現の一端を担うべく、少しでもおかしいと思うことに対して率直に意見を言える人になってほしいと思っています。そういう人材を育成することによって、卒業後それぞれの分野で活躍する人を輩出したいと考えており、また、社会における女性の更なる活躍にも期待し応援しています。
2025年度のゼミでは、「強力な支配者/権力者がいなくとも、人間は道徳的秩序を形成し保つことは可能なのか」ということをテーマとして考察したい。この目的のために、後期には道徳的秩序が強力な支配者がいなくても形成できるという議論を展開した思想を検討することにあります。ジョン・ロック、アダム・スミス、アダム・ファーガスン、J.S.ミル、ジェイムズ・マディソンなどからゼミ生の関心も見ながら、検討する文献を選びます。
本ゼミは、三、四年生合同で実施します。四年生次には、卒論執筆希望者には論文指導をします。卒論執筆は必須ではなく、卒論を執筆しない四年生は、通常のゼミの勉強をします。三年生には年度末に卒論執筆の意思や、ゼミ持ち上がりについて話をします。
科目目的
本ゼミは、「政治思想史」のゼミです。「政治思想史」とは、政治学の重要な概念(デモクラシー、リベラリズム、自由、全体主義、正しさ/正義、平和、人権など)が、それぞれどのような社会背景の中で、思想家たちによって形成され論じられてきたかを学ぶ学問で、また、それらの概念を今日起きている様々な問題と結びつけて考察する学問です。
本ゼミでは、政治思想史の知識を深めながら、議論する力(論理的に説明する力;他者の意見を聞き取り入れる力;質問する力;マナー)とプレゼンテーション力(「話すこと」「書くこと」、「読むこと」)、「聞くこと」を高めていくことが目的で、より詳細には次の5つがゼミとしての目的です。
1.政治思想史の重要な文献の内容をしっかりと読み解き、内容を論理的に説明する能力を身につけること。このために、ゼミ生全員で読む文献について、各自が自分の担当部分について、レジュメやパワーポイントを用いて他のメンバーにわかりやすく要点を説明できるようにします。
2.毎回のゼミで行われる学生によるスピーチ、ディスカッションやディベートに参加することによって、論点や争点となる部分について自分の意見を説得的に説明できるようになること。
3.他者の意見を聞いて柔軟に思考し広い視野を持つことができるようになること、
4.議論の司会を担当することによって、他者の意見を適確に要約しながら多様な意見をまとめて方向性を定めて議論を進めていく力を培うこと、
5.率直に自分の考えを述べながらも、謙虚に学ぶ姿勢や、相手を尊重するマインドとマナー/礼儀を身につけること。
到達目標
本ゼミの後期の到達目標は、学期末において、後期のテーマであり、今年度のテーマでもある「道徳的秩序の形成がいかにして可能か」について、自分なりの意見と考えを確立し、他者に論理的に説明できるようになっていることです。また、レジュメ、パワーポイント、レポートなどの資料作成とプレゼンテーション・スキルが、形式面は完璧になっていること、また、論理性においても申し分のない水準に達していること、卒論執筆者は卒論を完成させることです。
授業計画と内容
第1回目:今学期の授業の概要;成績評価の方法など
第2回目:夏休みの課題報告
第3回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料1の内容説明(レジュメ要約)とディスカッション
第4回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料2の内容説明(レジュメ要約)とディスカッション
第5回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料3の内容説明(レジュメ要約)とディスカッション
第6回目:次回(「社会人または専門家を招き話を聞く」)の事前勉強。
第7回目:社会人または専門家を招き話を聞く
第8回目:卒論中間報告会
第9回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料5の内容説明(パワーポイント)とディスカッション
第10回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料6の内容説明(パワーポイント)とディスカッション
第11回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料7の内容説明(パワーポイント)とディスカッション
第12回目:学生によるスピーチとディスカッション;学生による文献資料8の内容説明(パワーポイント)とディスカッション
第13回目:卒論最終報告会
第14回目:今年度の総括と卒論口述試験について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ディスカッションを充実させるためにも、文献資料にもとづく予習復習の課題を出します。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | スピーチ;課題報告;レジュメ、パワーポイント;議論への参加度 |
成績評価の方法・基準(備考)
卒論執筆者は、卒論の評価をする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
プレゼンテーションや課題レポートに対しては、良かったところや改善できることなどをコメントする他、文章については添削します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
社会人や専門家を招く際に、WebexやZOOMなども利用します。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〇テキスト
・青木裕子(2010)『アダム・ファーガスンの国家と市民社会』勁草書房。
・アダム・ファーガスン(2018)天羽康夫・青木裕子訳『市民社会史論』京都大学学術出版会。
〇参考文献(参考文献は、「青木ゼミ推薦図書・文献」の中から、受講生の関心を見ながら決めていきますが、参考までに挙げておきます。)
・会田弘継(2016)『追跡・アメリカの思想家たち<増補改訂版>』中央公論新社。
・坂本達哉(2014)『社会思想の歴史―マキアヴェリからロールズまで― 』名古屋大学出版会。
・ルイス・ハーツ(1994)有賀貞訳『アメリカ自由主義の伝統』講談社。
・リチャード・ホーフスタッター(2003)田村哲夫訳『アメリカの反知性主義』みすず書房。
・森本あんり(2016)『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体』新潮社。
・森本あんり(2019)『キリスト教でたどるアメリカ史』KADOKAWA。
・『政治概念の歴史的展開』晃洋書房。(第1巻から第10巻)
・マイケル・サンデル(2012)『ハーバード白熱教室』早川書房。
等
・アリストテレス『政治学』
・プラトン『国家』
・マキアヴェッリ『君主論』
・トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
・ジョン・ロック『統治二論』
・デイヴィッド・ヒューム『市民の国について 』
・アダム・スミス『国富論』
・アダム・スミス『道徳感情論』
・モンテスキュー『法の精神』
・カール・シュミット『政治的なものの概念 』
・F. A. ハイエク『隷属への道』
・ハンナ・アーレント『人間の条件』
・ジョン・ロールズ『正義論』
等