シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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美学1 | 2025 | 春学期 | 金2 | 法学部 | 春木 有亮 | ハルキ トモアキ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PE3-009L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「美学」ときくと、おおげさで、「ガチ」な感じがする、かもしれません。いわば硬派で、妥協をゆるさない求道のイメージです。 たほうでそれが学問だとするならば、むしろ「ユル」い感じがする、かもしれません。つまり美学は、個々のひとの趣味や生きかたのたぐいであって、そもそも教え学ぶことできるのか。また、教え学ぶ意義はあるのか。
いずれにせよ、みなさんがもし「美学」に対してそういう思いをいだくとすれば、それはおそらく、「美」ということばにとらわれているからです。注意すべきは、「美」学というネイミングそのものは、比喩表現だということです。たとえば、「ひとはパンのみによって生きるにあらず」と言うとき、「パン」は、「食べもの」(ひいては、生命維持のための必要条件)を意味します。パンは食べものの代表であるにすぎません。
それと同様に「美」は、美学があつかうテーマの代表であるにすぎません。美学は、「美」だけにこだわっているわけではない、ということです。では、美学があつかうテーマとは、よりひろくは、なんでしょうか。
ふと廊下ですれちがったひとの容姿にひかれ二度見する瞬間、カレーの概念を変えるようなカレーを口にした瞬間、You Tubeで「推し」にはじめて出会った瞬間。どの瞬間にも、ひとは「はっ」とします。つまり衝撃、震撼、当惑があり、さらにほぼ同時に、いつまでもそこに浸っていたいようなここちよさを感じます。
また、ときにそういう瞬間が、人生をおおきく転換することもあります。一見些細で瑣末なものとの出会いが、そのひとの人生全体や、そのひとの世界のありかたを揺るがしてしまう。ただ、なぜそのものにひかれたのか、そもそもなにに、どこにひかれたのか、うまく言うことができない。
そういうできごとにまつわるすべてが、美学のテーマです。ますます美学がなんなのか、わからなくなったかもしれません。整理するならば美学は、「はっきりとこれがいいとわかる」が「なんて言えばいいかわからん」ものをあつかう学だということです。わからないものをそれでもわかろうとする探究を、かりに「美」学と名づけたということです。
というわけで、テーマの範囲はほぼ無際限に広がりますが、ぼくの授業では、春期は「芸術(アート)」、秋期は「かっこいい/かわいい/ふつう」にしぼって、お話しします。みなさんにとっての「はっきりとこれがいいとわかる」が「なんて言えばいいかわからん」ものが、わからないながらもなんなのか、教えていただくことをもたのしみにしています。
科目目的
みなさんがふだんあまり考えないだろうことを考え、感じないだろうことを感じるための講義です。
とりたてて問題はないが、なんとなくつまらないと思いながら生きているかたを、歓迎します。
到達目標
生きるとはどういうことか、よく生きるとはどういうことか、世界とはなんであるか、を問うこと
法律、規則、常識は、社会の一定の権力構造のなかでつくられたものであるにすぎないことを知ること
好きだから努力するというヴェクトルだけではなく、努力してはじめて好きになるというヴェクトルがあることを知ること
芸術(アート)という考えかたそのものが、いかに「近代」、「現代」という時代のイデオロギーと結託しているかを知ること
講師を「はっ」とさせること
授業計画と内容
第1回 ルフィはなぜゴムなのか--にせもの vs ほんもの
第2回 世界をうつす01--影、ペルセウスの盾
第3回 世界をうつす02--ナルキッソスの水鏡、ラーの鏡
第4回 世界をつくる01--もし、こうだったらいいのに
第5回 世界をつくる02--これはいったい、なんなのか
第6回 転回の世紀ーー東か西か、天か地か、神か人か
第7回 スタイルの生起ーー人から人へ
第8回 「芸術」の誕生ーー機械の技術、自由の技術、美の技術、そしてテクノロジー
第9回 芸術の世界01ーー描きたいものを描く、描きたいように描く
第10回 芸術の世界02ーー「りんごを描く」と「りんごの絵を描く」は、どうちがうのか
第11回 芸術の世界03ーー描くとはどういうことかを、描く
第12回 「アート」の世界--ルールをやぶることで勝つゲーム
第13回 シミュレイトする生01ーーディズニーランド、おたく、キャラ化
第14回 シミュレイトする生02ーーとりあえず受験、とりあえず就活、そして終活へ
第15回 ヴィデオ・ゲームの空間--マリオはどこに居て、ドラクエはどこへ向かうか
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業中に紹介したものに積極的にアクセスいただければありがたいです。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 評価基準は、到達目標にどれくらい近づいたか(あるいは到達したか、さらには目標を超える目標を見いだしたか)です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
リアクションに基づいて評価します。リアクションのしかた、時と場所は(成績評価を下すまでであれば)、問いません。たとえば典型的には、講師に質問していただく、講師を批判していただく、リポートを出していただくなどすれば、そのたびごとに評価します。リアクションのしかた自体をも、ときに評価します。くわしくは授業中に説明いたします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業中に紹介します。
その他特記事項
教室での面接授業です。授業前に準備の余裕があれば、webexでリアルタイム配信をします。
配信はあくまでオプションです。
毎回うまくいくとはかぎらないので、ご承知ください。