シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文学B2 | 2025 | 秋学期 | 金2 | 法学部 | 福田 亮雄 | フクダ アキオ | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO1-016L
履修条件・関連科目等
履修のための条件は特に設けないが、日本の古典文学に関心のある人が望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
『更級日記』の作者が、やっとの思いで『源氏物語』を手に入れた喜びを、「はしるはしるわづかに見つつ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人も交じらず、几帳のうちに打臥して、引きいでつつ見る心地、后の位も何にかはせん」と記したことは著名である。平安の古より現在にいたるまで『源氏物語』は、『源氏物語』は多様な文化を紡ぎ出し、多くの読者の心に栄養を与え続けてきた。
『源氏物語』は、天皇になれない存在として物語に登場する光源氏が、准太上天皇という天皇の父に準ずる地位を得る「第一部」、盤石たる光源氏の権力が解体していく過程を描いた「第二部」、光源氏亡き後の子、孫の時代を描いた「第三部」と三部構成で考えることが通説となっている。
「若菜上」は「第二部」の冒頭に当たる巻である。講義では主に朱雀院の愛娘女三の宮と光源氏の結婚の経緯を読み進める。光源氏は、どうして親子ほど年の離れた女三の宮との結婚を決断したのか。それにより、光源氏世界にどのような歪みが生じていくのか。
表現の細部にこだわって物語の論理を辿っていきたい。
科目目的
古典とは、長い「とき」の批判に耐え、読み継がれてきた作品をいう。古典には強い一時的な刺激はないが、いつもかわらぬ滋味がたたえられている。ゆらぎ燃える火ではないが、懐かしいぬくもりを保つ埋み火のようである。愛する人との別れ、人の世の思うにまかせぬ嘆き、時代の壁はありながら、それを超越する普遍的な世界がそこにはある。とはいえ、古典を「いま」に引き寄せて読んでも、「古人のこころ」を味わうことは出来ない。当代を再現し、登場人物と共に物語空間を生きなければならない。そうすれば、古典は様々なことを我々に語りかけてくるに違いない。
文学2では、まず紫の上に寄り添って物語空間を生きること、共に悲しみ共に喜びことをとりあえずの目的としたい。そのためには、平安時代の貴族階級の生活習慣やものの見方・考え方を学ぶことが必要である。中でも和歌の解釈は登場人物の心情を考える上での手立てとなるものである。歴史的、社会的背景を学びながら、『源氏物語』の世界に迫っていきたい。
到達目標
この科目は、カリキュラム上の総合教育科目として位置付けられていることから、この科目での学習を通じて、学生が今まで学習してきた「古典文学」や「日本文化」に対する知識をさらに深め、物語読解のための「語り」「語り手」「典拠」「話型」という方法を学び、自らの「読み」を紡ぎ出す手立てを身につけることを最終的な目標としたい。
授業計画と内容
1.『源氏物語』概説 「須磨の秋」を読む
2.「少女」-六条院完成
3.「藤裏葉」-冷泉帝、朱雀院の六条院行幸
4.「若菜上」冒頭-朱雀院の病と出家
5.「若菜上」-朱雀院、女三の宮溺愛の理由、東宮来訪
6.「若菜上」-夕霧の朱雀院お見舞い①-光源氏への想いを告白-
7.「若菜上」-夕霧の朱雀院お見舞い②-女三の宮の婿選びに悩む-
8.「若菜上」-朱雀院と秋好中宮-朱雀院と秋好中宮、別れの御髪
9.「若菜上」-女三の宮降嫁-三日夜の餅-
10.「若菜上」-女三の宮降嫁-紫の上須磨の頃を回想、光源氏の夢に出現-
11.「若菜上」-朱雀院、山寺から光源氏と紫の上に消息を送る
12.「若菜上」-朧月夜との「こりずま」の恋
13.「若菜上」-紫の上、女三の宮と対面
14. 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 講義内容を踏まえたテーマを提示し、論述するという形式の試験を実施する。講義内容を理解した上で、自らの観点から説明できたかを重視したい。 |
平常点 | 40 | 授業への参加、受講態度を評価の基準としたい。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
この科目は、講義を中心として行うため、毎時間、質問・感想を記す用紙を配付し、それに基づき「質問と回答」を作成・配布し、次の授業の冒頭20分程度を使って回答する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〈テキスト〉特に使用しない。毎時授業内容にそって作成したレジュメを配布する。
〈参考文献〉
三田村雅子、『源氏物語』筑摩書房、1997年(ちくま新書)
三谷邦明、『入門 源氏物語』筑摩書房1997年(ちくま学芸文庫)
日向一雅、『源氏物語の世界』岩波書店、2004年(岩波新書)
高木和子、『源氏物語を読む』岩波書店、2021年(岩波新書)