シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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舞台芸術1 | 2025 | 春学期 | 他 | 法学部 | 安冨 順 | ヤストミ ジュン | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO1-021L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
皆さんは、演劇、それも舞台演劇を観た経験がありますか。チケットを手配・入手し、会場(劇場)へ足を運ぶ。チケットがもぎられ、半券だけが手元に残る。客席に腰を下ろす。芝居によっては席の上に、今から観る芝居のパンフや別の芝居のチラシが、置かれています。置かれたチラシの量で、その劇団の人気が分かります。
日本は舞台演劇が実に多様性に富んでいます。今、最も若い世代に支持されているのは、劇団四季と2・5次元。ともにミュージカルです。『ライオンキング』なら観劇経験がありますか。さらに問題を抱えてはいるものの宝塚。その一方、現代演劇の王道新劇はかつての影響力に翳が。そもそも新劇って何だか、分かりますか。
さらに能楽・歌舞伎・文楽の古典演劇。ただ、こちらは若い皆さん方の多くからは、敬遠されがちです。言葉が分からない。退屈、面白くない等々。ネガティブな評価の洪水です。
当該講義は多様性に富んだ日本演劇について、ごく初歩的な情報伝達を主眼とします。なかでも日本の古典演劇―能楽(能と狂言)、歌舞伎、文楽等を中心にお話をします。
日本の古典演劇を日頃からよく観るという学生さんは、少ないと想像します。今や、古典演劇・芸能は多くの方の人生から遊離した存在となっています。しかし、それを愛好する人々が存在するのもまた事実であり、それゆえ今日まで伝承されているのです。なぜか。それはやはりどこかに魅力があるからです。
講義では上の古典演劇が、現代のわれわれに何を放射しているか、を考えます。簡単いえば、古典演劇が現代演劇であった時代に生きた人々の、創造性を知ること目的としています。
科目目的
1)現代日本演劇の多様性を知り、ほんの少しだけでも、蘊蓄を語れるようになる。なぜ、かくも多くの演劇が混在するのか、を考えてみる。
2)今日、古典演劇として完成した能楽・歌舞伎・文楽を創造した当時の人々の創造性を知る。そしてその発想を理解する。そこからそれぞれの演劇の本質を知る。その本質は今日のわれわれの精神性、心情とどのような関係性を有しているか、を考える。
到達目標
1)演劇文化の多様性を語れることで、演劇のみならず、多種多様な芸術が如何にわれわれにとり、本来的に必要不可欠なものかを、理解するようなる。けっして不要不急なものではない、ことを知る。
2)現在の古典演劇が現代演劇であった頃、それは前衛であった。それが時間経過により、創造性より保守性が強まる。その保守性が強まる過程において「型(様式)」が定まる。あらゆる古典の本質が「型(様式)」へと、収斂されることを理解する。
授業計画と内容
第1回 演劇の5大要素ー観客論
第2回 現代日本演劇の多様性
第3回 古典とは何か?
第4回 能は死ぬほど退屈したー仮面の美学
第5回 能、それは何者かの到来であるー能舞台の構造、各流派の特色
第6回 能のお稽古ー舞・謡(うたい)
第7回 せぬならでてだてなしー世阿弥『風姿花伝』を読む
第8回 中世の笑い声ー狂言の魅力
第9回 歌舞伎若女形ー非リアリズムの美
第10回 よっしゃ魂いれたろー文楽を支える職人芸
第11回 情を語るー文楽の本質
第12回 謀書謀判は極刑ー近松『曾根崎心中』
第13回 宝塚歌劇ー小林一三の夢
第14回 吠えるー浅利慶太と劇団四季
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
演劇、特に古典演劇に触れた経験がない学生さんも多いと、想像します。講義内ではYouTube動画を使用し、少しでも馴染んで頂けるようにします。また講義外でも視聴をお奨めする動画があれば、積極的にお知らせします。
期末レポートで、観劇レポート提出を求めています。とにもかくにも新学期の4月から5,6月(あるいはギリギリ7月)劇場へ足を運んで下さい。肌で感じて下さい。劇場の空気を吸って下さい。これに尽きます。百聞は一見に如かず。六法全書をいったん置いて、劇場へと飛び出して下さい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 学期内に劇場に足を運び、学期末に3200字ほど(400字詰原稿用紙8枚換算)の劇評の執筆、提出を求めます。感想文ではありません。劇評です。この点を注意して下さい。詳細は講義内で説明します。 |
平常点 | 40 | 学期内に1回学習理解をより深化させるため、1200字程度の小レポートを課します。今年度は「大規模改修が遅れる国立劇場問題をどう考えるか」と予定。こちらも詳細は講義内で説明します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
とにもかくにも劇場へ行ってください。ジャンルは問いません。ただし映画は認めません。またYouTube動画、DVD等の視聴によるレポート作成も認めませんので、注意して下さい。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
学習効果を図るため、講義内でYouTube動画等の情報を、随時、お知らせします。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは使用せず、講義に使用するレジュメ、パワーポイントをマナバコースにアップします。参考文献等があるようなら、やはり講義内で適宜紹介します。
その他特記事項
授業の工夫 授業時間外の学修内容と重複しますが、講義内、あるいは自習時間に視聴可能なYouTube動画等に関する情報は、常にお知らせするよう努めます。またレポート作成の一助となる公演情報に関しても、常に発信をします。
レポートへのアドバイス 劇評というと難しいものと感じるかもしれません。例えば、ある芝居が面白かったとします。それをただ面白かった、だけでは感想です。どこか面白かったのか。なぜ面白く感じたのかを分析し自分の言葉で、伝えることを意識することです。
教員との連絡方法 大学のメールアドレスへ連絡をして下さい。