シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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総合講座1 核におおわれた世界2 | 2025 | 秋学期 | 火5 | 法学部 | 市田 真理、高橋 智子、山田 寿則 | イチダ マリ、タカハシ トモコ、ヤマダ トシノリ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-IF1-003L
履修条件・関連科目等
受講にさいして必要な知識は、一般常識程度で、特別な専門知識は求めません。春学期、秋学期を通しての受講が望ましいですが、必須ではありません。関連科目については、政治学、国際学、平和学、国際法、現代技術と社会、歴史等があげられます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
秋学期は、第二次世界大戦後の世界についてとくに冷戦期の核の在り方と核をめぐる言説について学びます。はじめに核を管理する国際法である核不拡散条約(NPT)の成立から核兵器禁止条約の登場まで、国際社会における核の軍備規制について学びます。その上で、米軍による水爆実験で日本の漁船が被ばくしたビキニ事件について検討し、日本でそうした核実験や被ばくがどのように表現されたのか、その表現は時代とともにどう変化したのかを検証します。最後に「抑止力」として水爆を開発したアメリカの科学者、アメリカの核の傘のもとで核の平和利用を進めた日本の科学者、「軍事大国」と「平和国家」の違いについて検討する。これらの学びを通じて「核におおわれた世界」をどうしていくのか、これからの国際社会の在り方を考えるための基本的素養を養います。
科目目的
第二次大戦後、原爆開発に続いて水爆が開発され、米ソ冷戦の世界で核軍拡競争は激化した。核の拡散により核実験が繰り返される一方で、核の平和利用が各国で進み、海洋や大気の放射能汚染が広がった。こうした状況を人びとはどう理解し、国際社会はどのような対応を行ってきたのか、その歴史の学修をつうじて、今日の「核におおわれた世界」をどう変えていくのか、一市民として考えるための視座を獲得する。
到達目標
学修した内容を踏まえて「核におおわれた世界」のこれからについて自分なりの考えを語ることができる。
授業計画と内容
9/23 第1回 ガイダンス(教員の自己紹介、授業の構成とすすめかた・評価方法などについて)
<第一部 平和を求める世界のうごき> (山田担当)
9/30 第2回 核不拡散条約(NPT)の成立と展開
10/07 第3回 核実験の現状と包括的核実感禁止条約(CTBT)
10/14 第4回 非核兵器地帯条約(NWFZ)
10/21 第5回 核兵器禁止条約(TPNW)
<第二部 表現された核と世界のうごき> (市田担当)
10/28 第6回 ビキニ事件と第五福竜丸
11/11 第7回 表現される核 A
11/18 第8回 表現される核 B
フィールドワーク:第五福竜丸展示館見学 詳細は授業中に連絡
(授業1回分としてカウント)
<第三部 水爆開発と原子力の平和利用> (高橋担当)
11/ 25 第9回 水爆開発をめぐるアメリカ科学者の論争
12/ 2 第10回 日本の科学者とビキニ事件
12/ 9 第11回 原子力の平和利用と核兵器
12/16 第12回 低線量被ばくをめぐる論争
12/23 第13回 教室での授業はありません(フィールドワークに代替)
1/ 20 第14回 まとめとふりかえり(学生スピーチによる振り返り・教員のコメント)
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
核兵器や原子力発電に関する問題については、様々なメディアで日々報じられています。是非これらを積極的に読み、画像や映像を視聴し、また、表現された作品にふれながら、核・原子力のあり方を、国内的にのみならず、世界の歴史の中で考えてほしい。とくに、日本だけでなく世界にひろがる核被害者の方々の現状を正確に知るための努力が求められます。またこの授業は3人の講師によるオムニバス授業ですので、各講師が提示する課題レポート3本を作成・提出する必要があります。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 75 | 3人の講師による課題レポート3本。授業内容に則したレポートテーマの設置、論理的なレポート構成、引用方法等のレポートマナー、考察結果の記述等を評価します。 |
平常点 | 20 | リアクションペーパーの提出、授業中の積極的な発言。 |
その他 | 5 | 第五福竜丸記念館見学レポート。詳細は授業中に紹介します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
(1)すべての回で授業最後の10分間にリアクションペーパーを提出してもらいます。
(2)3人の講師が提示するレポート課題を指定期日までに指定された提出方法でそれぞれ提出してください。受講者は3本のレポートを提出することになります。
(3)フィールドワークとして第五福竜丸記念館の見学を授業の一環に設定してあります。
(4)レポート課題の評価に加え、リアクションペーパーやフィールドワークへの積極的参加など、総合的に評価して最終成績とします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
responを使ったアンケートを実施する場合があります。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
市田真理:都立第五福竜丸展示館・事務局長として運営。学芸員として被ばく者の問題の研究、展示、社会教育に携わってきた。
山田寿則:日本反核法律家協会(JALANA)および国際反核法律家協会(IALANA)理事、核兵器の廃絶と被爆者の援護を支援する法律家からなるNGOの理事として活動してきた。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
市田は、都立第五福竜丸展示館の学芸員として、特に表象という視点から被爆者の問題にアプローチしてきた。その経験を活かして「表現された核と世界のうごき」またフィールドワークを担当する。
山田は、核不拡散条約や核兵器禁止条約の締約国会合等に参加し、提言活動を行ってきた。その経験を背景に法と政治の関わりという視点から授業を担当する。
テキスト・参考文献等
特にテキストは定めず、レジュメや資料を配布し、その中で参考文献を適宜指示する。
その他特記事項
■授業の工夫■
1)毎回、映像資料やデータを活用し、理解の一助とする。
2)実務家の講師陣を中心に、フィールドワークを取り入れ、被爆者の方がたの視点に立つ、アクチュアルで共感的な理解をめざす。
3)毎回リアクションペーパーの記入、提出を求めることにより、学生と教員間の双方向のコミュニケーションを図る。
4)履修者が発言できる場を設け、履修者どうし、履修者と教員の間のフィードバックの機会とする。
参考URL
都立第五福竜丸展示館 Official Site: http://d5f.org/