シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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FLP演習A(国際協力) | 2025 | 通年 | 月5 | 学部間共通科目 | 戸川 正人 | トガワ マサト | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
UW-IF2-F01S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【テーマ】 日本のODAから地方創生への環流:実務的アプローチ
国際社会においては、地政学的対立が深刻化し、持続可能な開発目標(SDGs)など国際的な協力による開発課題の進展への期待も揺れ動いています。2023年に改定された「開発協力大綱」を踏まえ、複合的危機を克服し、地球規模課題に対応し、人間の安全保障をまもるためにも国際協力の重要性がこれまで以上に高まっているといえます。また、国内の経済・財政状況が厳しくなると、政府開発援助(ODA)に対する視線が厳しくなることから、日本の国際協力は、効果をあげているのか、また課題は何か、など理解する必要があります。
日本の国際協力は、日本国内の知見を踏まえて実施されることから、質の高い国際協力を実施するためには、日本国内の現状と課題を理解し、国際協力の実施が日本の地方創生にもつながる好循環を目指す必要があります。しかし、日本と開発途上国の連携や共創は、実際には容易ではありません。
本演習では、国際協力および国内の社会開発の場を事例として、日本の国際協力の現状と課題を理解し、持続可能な開発のあり方とはどのようなものかについて一緒に考えていきます。
科目目的
ODAの基本的な事項を理解し、併せて日本国内の地方自治体の現状と課題ついて学習する。
その上で、日本のODAが地方創生にいかに貢献できるかを考察する。
到達目標
ODAの基礎的な事項について理解する。
訪問する地方自治体の現状と課題について理解する。
海外調査対象国の概要と当該国への日本のODAの概要を理解する。
基礎的な文書作成能力を身につける。
授業計画と内容
【テーマ】 日本のODAから地方創生への環流:実務的アプローチ
①オリエンテーション(学生の希望を踏まえた教員と学生の共通認識の形成、年間計画の確認)
②ODAの歴史・理念
③ODAの潮流(概要)・課題
④ODAの実施(JICAやJOCVの概要)
⑤3年次の調査対象国の検討
⑥調査対象国の確定/調査対象国の概要
⑦研究の進め方(リサーチクエスチョンを学ぶ)
⑧調査対国関連の講義又はイベント参加(ラオスフェスティバル5月24日/25日)(AC合同)
⑨JICA地球ひろば見学(AC合同)
⑩開発経済学の基礎
⑪文書作成・論文作成の基礎
⑫地方創生の現状と課題(地方自治体訪問の準備)
⑬参加型開発の概要/社会関係資本の概要(AC合同)
⑭総括(ODA基礎事項のまとめ及び国内調査の日程並びに役割等確認(上記⑩~⑬の復習))
夏休み期間中:地方自治体における国内調査(3泊4日程度)
①地方創生とODA(JICAが果たすことのできる役割)
②ODAの援助潮流(詳細)/地域を見る視点
③気候変動分野の国際協力
④教育分野の国際協力
⑤インフラ整備分野の国際協力
⑥法整備支援・平和構築分野の国際協力and/or JICA横浜見学(AC合同)
⑦国際協力の世界で働くということ
⑧国際協力隊事業の概要(+JICA職員採用)、スポーツと開発
⑨海外調査の準備(旅券・査証の確認と航空券・ホテルや訪問先の手配など)
⑩成果発表会資料のプレゼン(概要と当日役割を確定)/海外調査対象国の研究
⑪成果発表会資料の最終確認
⑫成果品の執筆内容打合せ
⑬成果品の詳細打合
⑭総括(成果品の最終確認/海外調査対象国におけるODAの概要と3年次に向けての準備事項の確認)
※学習の進捗や講師(外部)の都合等により、若干の変更が生ずる場合がある。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ODAの理解を着実なものにするため、JICA横浜(移住資料館)やJICA地球ひろばを訪問する。
また、調査対象国への理解を深めるため、ラオスフェスティバル(例)などのイベントに参加する。
夏休み期間中には、地方自治体を訪問し(2泊3日又は3泊4日程度)、ヒアリングや協働作業などを通じて当該自治体の現状と課題を理解する。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 現地調査準備・結果報告への貢献(30%) 論文執筆・発表への貢献(30%) |
平常点 | 40 | 輪読の報告・発表の準備(20%) 議論への参加度(20%) 国内調査などのアレンジについて当事者意識を持って対応したかを評価する。無断欠席は、減点の対象とする(3回以上の無断欠席がある場合には、単位を付与しない。)。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
成果品の内容を確認しつつ、フィードバックを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員は、独立行政法人国際協力機構(JICA)出身でベトナムやラオスの勤務経験があり、また人事部門の経験も有するため、可能な限り開発の現場の実務や海外業務のキャリアについても講義を実施する。
また、受講者のレベルや希望を踏まえて適宜外部講師の招へいも行いながら授業を演習を組み立てていく予定。
なお、外部講師は以下を想定(講師の都合もあるため、現時点での最大の内容を示す。)。
①地方自治体の現状について(埼玉県横瀬町、島根県海士町、鳥取県南部町などの職員からの講義)
②ガバナンス分野の協力について(平和構築支援や法整備支援のODAの潮流や現状などについてJICA職員等からの講義)
③教育分野の協力について(教育分野のODAの潮流や現状などJICA職員等からの講義)
④気候変動分野の協力について(気候変動分野のODAの潮流や現状などJICA職員等からの講義)
⑤ラオス(例)の概要と日本のODAの現状について
⑥国際協力の世界で働くということ(JICA職員、JICA専門家、JOCV経験者等からの経験談を踏まえた講義)
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
ラオスやベトナムでの駐在経験を踏まえ、ODAの概要等に加え、現場レベルでの成果や課題について講義を行う。
また、JICA職員を地方自治体に配置していることもあり、日本のODAと地方創生の親和性及び共創について講義を行う。
最新のODAの潮流などについては、これまで築いてきた人脈を用いて、適当な外部講師を招へいする。
テキスト・参考文献等
【テキスト】
山形辰史著『入門開発経済学』中公新書、2023年、日本
佐藤郁哉著『リサーチクエスチョンとは何か?』筑摩書房、2024年、日本
【参考文献】
佐藤寛編『参加型開発の再検討』アジア経済研究所、2004年(第二刷)、日本
内海成治・桑名恵・杉田映理編『国際協力を学ぶひとのために』世界思想社、2024年、日本
宮家邦彦著『グローバルサウスの地政学』中公新書ラクレ、2024年、日本
戸堂康之著『開発経済学入門』新世社、2021年(第2版)、日本
石破茂著『日本列島創生論』新潮新書、2017年、日本
石破茂・神山典士著『「我がまち」からの地方創生』平凡社新書、2024年(初版第2刷)、日本
塩見一三男・安嶋是晴・編著『産業観光と地方創生』筑波書房、2023年(第1版第1刷)、日本
月刊「国際開発ジャーナル」
大谷信介・木下栄二・後藤範章・小松洋編著『新・社会調査へのアプローチ」ミネルヴァ書房、2013年、日本
西垣昭、辻一人、下村恭民 『開発援助の経済学-共生の世界と日本のODA第四版』 有斐閣 、2009年、日本
尾町寅之助著『青の地平線』毎日新聞社2009年、日本
外務省 「開発協力大綱」2024年
大坪滋、木村宏恒、伊藤早苗編 『国際開発学入門』 勁草書房 2015年、日本
山形辰史著『入門 開発経済学-グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション』中公新書2023年、日本
佐藤仁著『開発協力のつくられ方』東京大学出版会2021年、日本
下村恭民著『日本型開発協力の形成』東京大学出版会2020年、日本
入江昭著『新・日本の外交』中公新書2003年(1991年初版)、日本
渡辺利夫著『アジアを救った近代日本史講義』PHP新書2013年、日本
【配布資料】
「文書作成の手引き」(教員作成)
「論文の書き方」(教員作成)
戸川正人・友松篤信著『日本のODAの国際評価』福村出版、2011年、日本(教員執筆につき、原稿を配布)