シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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東洋史学基礎演習(2)A | 2023 | 前期 | 金2 | 文学部 | 石野 智大 | イシノ トモヒロ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-OH1-G021
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業では、前近代中国史に関わる漢文史料を講読し、受講生が今後研究に取り組むうえで必要となる漢文史料の読解・分析能力を養う。また漢文史料の講読と並行して、授業内容に関わるレポートを設定し、それへの取り組みを通して基礎的な知識や方法を身につけることを目的とする。
春学期では「隋代の政治・軍事と社会」をテーマとして、正史『隋書』列伝部を取り上げ、漢文の語法や史料用語を詳しく解説しながら読み進める。隋の初代皇帝である文帝(楊堅)には五人の息子がおり、なかでも末っ子の楊諒は父の寵愛を受けた。しかし、次男の楊広(のちの二代皇帝煬帝)が皇太子や皇帝に就位し、他の兄たちが皇室から姿を消し始めると、楊諒は大きな不安を抱き、王朝を揺るがす大事件を起こした。すなわち、漢王楊諒の反乱である。本授業では、この反乱の首謀者となった漢王楊諒の列伝を通して、煬帝即位前後の政治状況や反乱の始末を確認しつつ、当時における政治・軍事・社会の一端を眺めてみたい。
また後半では、隋代政治史に関わる近年の重要な考古学的発見も紹介し、授業内容に対する理解を視覚的に深める機会を設けたい。
科目目的
東洋史の研究を行うための史料読解能力を高め、基礎的な知識や方法を習得する。
到達目標
(1)東洋史の研究を行ううえで必要な漢文読解能力を高める。
(2)各種の辞典や工具書を目的に応じて利用できるようになる。
(3)適切な形式と表現でレポートなどの文章を作成することができる。
授業計画と内容
第1回:授業内容の説明、講読史料の配布と解説、予習方法の説明
第2回:参考書や工具書の紹介、期末レポートの説明
第3回:隋代前期政治史の概観
第4回:『隋書』列伝部の講読(1)「庶人諒~不拘律令」
第5回:『隋書』列伝部の講読(2)「十八年~寵愛之」
第6回:『隋書』列伝部の講読(3)「諒自以~数万」
第7回:『隋書』列伝部の講読(4)「王頍者~掩耳」
第8回:『隋書』列伝部の講読(5)「若但~指麾而定」
第9回:『隋書』列伝部の講読(6)「京師~召文安」
第10回:『隋書』列伝部の講読(7)「文安至曰~為澤州」
第11回:『隋書』列伝部の講読(8)「煬帝遣~勿還也」
第12回:『隋書』列伝部の講読(9)「諒不従~遇害」
第13回:隋代史研究と近年の考古学的発見
第14回:本授業のまとめ、期末レポートの提出
※授業内容は必要に応じて変更することがあります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
史料の講読時には、受講生に書き下し文、史料用語の解説、現代日本語訳の報告を求めますので、十分な予習をして授業に臨んでください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 30 | (1)課題が指定の内容にあわせて作成されているか (2)自らの言葉で文章が論理的にまとめられているか |
平常点 | 70 | (1)予習・報告の内容が十分であるか (2)意見の提示や議論への参加ができているか (3)授業態度(授業への取り組み)は良好か |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の授業出席が前提のため、遅刻や欠席は減点の対象となります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
講読史料や参考資料は、プリントで配布します。
漢文読解に際しては、西田太一郎『漢文の語法』(角川ソフィア文庫、KADOKAWA、2023年)、加地伸行『漢文法基礎』(講談社学術文庫、講談社、2010年)などの文法書を適宜参照してください。漢文を読む際には小型漢和辞典の末尾にある「付録」も有用です。
隋代政治史の概説書としては、以下のものをおすすめします。
布目潮渢『つくられた暴君と明君―隋の煬帝と唐の太宗―』(清水書院、1984年)
宮崎市定『隋の煬帝』(中公文庫、中央公論新社、1987年)
氣賀澤保規『絢爛たる世界帝国 隋唐時代』(講談社学術文庫、講談社、2020年)
その他特記事項
演習授業であるため、講読する史料の予習は必須です。
史料講読時には、戸川芳郎監修『全訳漢辞海(第四版)』(三省堂)または小川環樹他編『新字源(改訂新版)』(角川書店)の小型漢和辞典を各自で用意し、ご持参ください。漢文が得意な方もそうでない方も、ともに歓迎します。
質問・相談は随時対応しますので、授業時または授業前後にお願いします。