シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学講義(2)(12) | 2023 | 後期 | 火1 | 文学部 | 土橋 茂樹 | ツチハシ シゲキ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE3-J302,LE-PE4-J312
履修条件・関連科目等
この授業は対面形式によって行われる。オンライン受講できる者は、学内、 学部で定められた手続きを踏んだ者のみとし、それ以外でのオンライン受講は一切認めない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では、哲学と宗教との相互補完的な関係を、具体的にキリスト教の成立の場面で考察していきます。ユダヤ教からキリスト教がどのように成立し、自らの独自性を築き上げていったか、またその際に、ギリシア哲学(プラトンおよび(新)プラトン主義、アリストテレス、ストア主義など)がどれほど有効で必要不可欠であったかを、キリスト教の基礎知識を歴史的に説明していきながら解明していきます。
科目目的
初期キリスト教の成立史を詳細にたどることで、わかったようで実はあまり知られていないキリスト教のいわば根っこをしっかりと理解できるようになることを目指します。それと同時に、信仰と理性という、まるで水と油のような敵対関係にあるように思われていたキリスト教とギリシア哲学が、そうした対立的な関係を抱えこみながらも実は相互補完的に互いを生かし合っていたという思想史上の洞察へ、皆さんを誘(いざな)いたいと思います。
到達目標
この講義では、キリスト教に関するもっとも根本的な三つの問いを問うていきます。すなわち、⑴ なぜイエス・キリストは「御言葉」と呼ばれるのか?⑵ なぜイエス・キリストは「子」と呼ばれるのか?⑶ なぜイエス・キリストは「神の像」と呼ばれるのか? これら三つの問いは聖書を読み始めたとき、誰もが素朴に抱く問いですが、多くの人はわかったつもりになって通りすぎてしまいます。しかし、この三つの問いに答えていくためには、実はギリシア哲学のほとんどすべてのエッセンスを総動員していかねばならないほど、哲学的な考え方が必要となります。したがって、この講義の到達目標は、これら三つの問いに対して、理論的にも思想史的にも的確に答えられるようになることです。
授業計画と内容
1. イントロダクション
2. なぜイエス・キリストは「御言葉」と呼ばれるのか?—神の〈ロゴス〉という考え方 —
3.「二つの〈ロゴス〉」説—キリスト教の護教家たち—
4. 神の思惟としてのイデア
5. なぜイエス・キリストは「子」と呼ばれるのか?—〈父〉が〈子〉を「生む」ということの意味—
6. 〈父〉なる神と〈子〉キリストは、一体どうして「ふたりの神」ではなく「一なる神」なのか? —ホモ・ウーシオス(同一本質)説—
7. グノーシス主義とキリスト教、そして哲学
8. なぜイエス・キリストは「神の像」と呼ばれるのか?—神学から救済の実現(オイコノミア)へ—
9. 「像」とは何か—イコン(聖画像)崇拝と偶像崇拝は一体どう違うのか?
10. 正統と異端—アレイオス論争とは何か?
11. 三位一体論て何?
12. キリスト教はオウム真理教や旧統一原理とどこが違うのか?
13. 理性は信仰を追放するのか、それとも必要とするのか?
14. 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 65 | 課題を提出するので、その課題に即したレポートを期末に提出してもらう。 |
平常点 | 35 | 毎回の講義に関して、manabaの「レポート」機能を使って、簡単な問いに答えてもらう。講義は14回あるので、2.5 x 14=35とカウント。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
*授業で使用するテキスト
土橋茂樹『キリスト教の生い立ちをめぐる三つの問い—教父哲学で読み解くキリスト教—』、教文館、2023年(刊行予定)
*参考書
土橋茂樹『三位一体』、中公新書、2023年(刊行予定)
ただし、上記二冊の中から講義で使用する部分をピックアップし敷衍したものを毎回handoutとしてmanabaにアップするので、必ずしも二冊とも購入する必要はありません。その意味で上記二冊は、あくまで、より深く理解したい人向きと言えます。