シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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財政学 | 2025 | 前期複数 | 月3,木1 | 経済学部 | 古市 将人 | フルイチ マサト | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-EA2-01XX
履修条件・関連科目等
履修条件はありません。ミクロ経済学、マクロ経済学、公共経済学、社会政策、社会保障論などの関連科目を履修することは本講義の内容を深く理解するのに有益です。また、租税論と地方財政論を履修することで、本講義で扱った租税や地方財政の発展的な内容を学ぶことができます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
財政とは、政府や地方自治体による経済活動の総体を指します。政府が私たちに提供する公教育や社会的インフラは、私たちの生活にとって不可欠です。しかし、政府の経済活動が私たちの生活にとって必要だからといって、政府が私たちの生活に無制限に介入することは危険です。私たちの生活を支える活動を考えつつ、政府の活動をコントロールする必要があります。これを可能にする手段の一つが、政府の予算制度です。予算に体現される政府の活動のありかたを学ぶのが財政学です。本講義では、財政を理解するために必要な理論、歴史、制度の基礎知識を扱います。
科目目的
科目目的は、政府や地方自治体の経済活動を適切に理解し、現実の財政制度の実態や役割を説明できると共に、財政に関連する課題について議論できるようになることです。
到達目標
上記の目的を達成するために、次の到達目標を設定します。
1. 財政学の基本的な知識を用いて、公共部門の役割を説明できる。
2. 財政学と財政史の知識を用いて、予算制度の仕組みと役割を説明できる。
3. 財政学と財政史の知識を用いて、財政制度の仕組みと役割を説明できる。
4. 日本の財政史と財政制度の知識を用いて、地方交付税や国庫支出金の仕組みと役割を説明できる。
5. 上記の知識を用いて、特定の経済・社会問題に対処する財政の役割について議論できる。
授業計画と内容
第1回 財政学とはいかなる学問か
第2回 財政史から学ぶ国家の役割(1):租税国家と財政国家
第3回 財政史から学ぶ国家の役割(2):福祉国家
第4回 財政学の歴史から学ぶ財政学の基本(1):アダム・スミスとドイツ財政学
第5回 財政学の歴史から学ぶ財政学の基本(2):ヴィクセルとストックホルム学派
第6回 財政学の歴史から学ぶ財政学の基本(3):ケインズ経済学
第7回 財政学の歴史から学ぶ財政学の基本(4):財政の三機能論とその射程
第8回 予算制度の意義と予算原則
第9回 予算編成過程
第10回 決算制度と行政評価制度
第11回 公共部門の資金運用と財政投融資
第12回 経費論
第13回 公共投資と社会資本整備
第14回 社会保障財政概論
第15回 公的医療保険制度の仕組みと役割
第16回 公的年金制度の仕組みと役割
第17回 公的介護保険制度の仕組みと役割
第18回 教育財政の歴史から学ぶ政府間財政関係
第19回 地方交付税の仕組みと役割
第20回 国庫支出金と地方自治体の活動について
第21回 租税原則と租税体系
第22回 所得課税の仕組みと役割(1):超過累進課税
第23回 所得課税の仕組みと役割(2):所得課税の特徴について
第24回 消費課税の仕組みと役割
第25回 資産課税の仕組みと役割
第26回 公債論と公債原則
第27回 公債負担論
第28回 近年の財政に関する論点と課題について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回授業時間前に講義ノートを用いて、前回の講義内容を復習してください。授業時間前に、コマシラバス(講義内で配布)を用いて、重要用語や講義の概要を予習してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 80 | 上記の到達目標を達成できているかを評価基準にします。 |
平常点 | 20 | 講義にて出題する課題の提出状況や内容を評価の基準にします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業内容への質問はリアクションペーパー等で受け付けます。講義の冒頭で、前回講義の質問に答えます。毎回の講義の冒頭で前回講義の復習をします。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
基本的に講義形式を採用しますが、問題の解説、リアクションペーパーに対する教員の応答、質問への回答を用いて、学生と教員との双方向の授業を実施する時間を確保するよう努めます。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは指定しません。講義ノートを配布します。
参考文献
池上岳彦編『現代財政を学ぶ』有斐閣、2015年。ISBN 978-4-641-18424-4
佐々木伯朗編著『財政学 制度と組織を学ぶ』有斐閣、2019年。ISBN 978-4-641-16554-0
神野直彦『財政学 第3版』有斐閣、2021年。ISBN 978-4-641-16581-6
神野直彦・小西砂千夫『日本の地方財政 第2版』有斐閣、2020年。 ISBN 978-4-641-16575-5
関野満夫(2016)『財政学』税務経理協会、2016年。ISBN 978-4-419-06326-9
畑農鋭矢・林正義・吉田浩『財政学をつかむ 第3版』有斐閣、2024年。ISBN 978-4-641-17733-8
林正義『税制と経済学―その言説に根拠はあるのか』中央経済社、2024年。ISBN 978-4-502-48911-2