シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒューマニティーズ特論B | 2024 | 後期 | 火2 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 吉田 達 | ヨシダ トオル | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-HO5-LN05
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
・最初の10回程度で米盛裕二『アブダクション 仮説と発見の論理』(勁草書房、2007年)の本論を1回に1章ほどのペースで議論しながら読解する。同書は、19世紀のアメリカ合衆国を代表する哲学者の1人チャールズ・サンダース・パースの「アブダクション」概念のすぐれた研究書である。
「アブダクション」は「仮説形成」と訳せる語で、「演繹」や「帰納」とならぶ第3の推論形式である。近年は、創造的な思考を導く重要な推論として多くの分野で注目を集めている。
・残りの4回程度で古代ギリシアの哲学者プラトンの対話篇『メノン』(渡辺邦夫訳、光文社古典新訳文庫、2013年)を議論しながら読解する。本書は、プラトンが「学ぶとは想起することだ」という「想起説」を最初に提示した作品として重要視されるが、それだけには限定されない広がりをもつ。全体は対話劇の形式で書かれており、読み物としても楽しめると同時に深い思索へといざなう優れた作品である。
・最終回では、パースのアブダクション概念とプラトンの思想とがどの点で共通し、どの点で共通しないかを議論したい。
・パースやプラトンを読むために必要な背景知識については、適宜、解説する。
科目目的
学位授与方針のうち、「知識獲得力」の養成を中心目的とし、それに伴って「コミュニケーション力」と「創造力」の養成も目的とする。
到達目標
・プラトンの対話篇『メノン』の読解をつうじて、哲学的な対話のおもしろさや難しさを体感する。
・パースの「アブダクション」概念の概要を理解する。
・プラトンの『メノン』と「アブダクション」に共通する論点、共通しない論点を理解する。
・なにかがわかるだけでなく、「ここがよくわからない」という感覚が大切であることに気づく。
*「授業計画」の項もあわせて参照してください。
授業計画と内容
第1回 ガイダンス この授業の目的と概要の説明
第2回 パースの生涯と業績の紹介、『アブダクション』第1章「アブダクションと探究の論理学」前半についての議論(推論の3つの種類について)
第3回 『アブダクション』第1章「アブダクションと探究の論理学」後半についての議論(論理学とはなにか)
第4回 『アブダクション』第2章「分析的推論と拡張的推論」前半についての議論(分析的推論/拡張的推論とはなにか)
第5回 『アブダクション』第2章「分析的推論と拡張的推論」後半についての議論(ケプラーの発見を手がかりに考える)
第6回 『アブダクション』第3章「アブダクションの推論の形式と特質」についての議論(アブダクションにおける「ひらめき」をめぐって)
第7回 『アブダクション』第4章「帰納とアブダクションはどのように違うか」についての議論(帰納的飛躍/仮説的飛躍について)
第8回 『アブダクション』第5章「科学的探究における帰納とアブダクション」についての議論(アブダクティブな観察/帰納的観察について)
第9回 『アブダクション』第6章「機能主義の考え方について」についての議論(「仮説が事実をつくる」とはどういうことか)
第10回 『アブダクション』 付章「反デカルト主義的論考」についての議論(デカルト主義/反デカルト主義とはなにか)
第11回 プラトンの生涯と業績の紹介、『メノン』についての議論・第1回(メノンはどんな若者なのか)
第12回 『メノン』についての議論・第2回(ソクラテスによる「想起説」の証明を検討する)
第13回 『メノン』についての議論・第3回(プラトンの対話編はなぜ唐突に終わるのか)
第14回 パースとプラトンに共通するものはなにか
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 50 | 授業に参加して考えたことを、授業のテキストや参考文献と適切に関連付けながら、明確な日本語で表現できているかを評価する。 |
平常点 | 50 | ふだんの授業のディスカッションへの貢献度を評価する。率直な疑問を提示したり、さまざまな話題を提起したりできているかをとくに重視する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
米盛裕二『アブダクション 仮説と発見の論理』(勁草書房、2007年)
プラトン『メノン』(渡辺邦夫訳、光文社古典新訳文庫、2013年)