シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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総合教育科目演習Ⅱ(人文) | 2025 | 通年 | 火2 | 経済学部 | 濱岡 剛 | ハマオカ タケシ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-IF2-41XS
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
西洋の倫理思想史における古典的著作であるアリストテレス『ニコマコス倫理学』を読む。総論的な議論を展開している第1、2、3巻、および正義論の第5巻をじっくり読み解いていく。
科目目的
アリストテレス『ニコマコス倫理学』という古典的著作を精読し、テキストを精密に理解しそこから自分自身の生き方についての引き出す力を身につける。各自が読み取った内容を自分なりの形で表現し、議論する力を養う。
到達目標
・テキストの議論の筋道を分析することができる。
・テキストの個々の議論のポイントを的確につかみ、要約することができる。
・徳という概念を手がかりとして現代の倫理的問題にアプローチすることができる。
授業計画と内容
〔前期〕
第1回 この演習について
第2回 倫理思想史の中でのアリストテレス『ニコマコス倫理学』
『ニコマコス倫理学』第1巻
第3回 第1章 行為の目的の系列から善さについて考える
第2章 最高の目的としての幸福は政治学と倫理学によって研究される
第3章 倫理学講義を受講する際に心がけておくべきポイント
第4回 第4章 幸福は倫理学の目的であるか、人々の激しい論争の的である
第5章 代表的な三種類の生き方の検討
第5回 第6章 プラトンの善のイデアに対する批判
第6回 第7章 幸福の定義「徳に基づく魂の活動」
第7回 第8章 人々の通念から幸福の定義を正当化する試み
第9章 幸福はどのように得られるものか?
第8回 第10章 人を「幸福」と呼ぶことは死ぬまで許されないのだろうか?
第11章 死んだ人間は幸不幸に関する変化をこうむるか?
第9回 第12章 幸福な人は尊敬され、徳は賞賛される
第13章 幸福論から徳論へ─徳の二大区分
『ニコマコス倫理学』第2巻
第10回 第1章 人柄の徳は、人が育つ過程における行為習慣の問題である
第2章 倫理学は自分が善き人になるためのものである
第11回 第3章 徳は快楽と苦痛に密接なかかわりをもつ
第4章 徳のためには人は、行為の習慣により特有の性向になってなければならない
第12回 第5章 徳も悪徳も魂のなんらかの性向として定義できる
第6章 人柄の徳は、感情と行為においてちょうどしかるべき中間的な性向である
第13回 第7章 「中間の性向」を、さまざまな人柄の徳を例にして説明する
第14回 第8章 中間の性向と二つの極の反対対立関係がもつニュアンスの説明
第9章 人柄の徳の獲得の難しさ、および徳に近づく方法の紹介
〔後期〕
第15回 夏期レポート発表会
『ニコマコス倫理学』第3章
第16回 第1章 徳を考えるために自発的な行為を考える
第17回 第2章 ただ単に自発的なだけではない、選択に基づいた行為
第3章 選択に基づいた行為を導く思案
第4章 人は善いものを願望するのか、それとも善くみえるものを願望するのか
第18回 第5章 徳も悪徳も自発的なものである
第19回 第6章 自信の大きさと恐れの中間としての勇気
第20回 第7章 自信をもちすぎる向こう見ずな人、恐れすぎる臆病な人、中間性を保った勇気ある人
第8章 本来の勇気とは別に、「勇気」と呼ばれている五つのもの
第21回 第9章 美しいもののために耐える勇気
第10章 節制と放埒
第22回 第11章 放埒な人は欲望ゆえに苦しむが、節制の人は苦しまない
第12章 放埒さは自発的なものである
『ニコマコス倫理学』第5巻
第23回 第1章 対人関係において発揮される徳を総称して「正義の徳」ということがあること
第24回 第2章 対人関係における徳としての全体的正義と、ほかの特と区分される部分的正義
第25回 第3章 部分的正義の第一の種類:「配分的正義」
第26回 第4章 各人を等しく一人として考える第二の種類:「矯正的正義」
第27回 第5章 正義の議論における「応報」という考え方について
第28回 冬期レポート発表会
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テキストを丹念に読み取む。どのような根拠でどのような結論を導いているか、という議論の筋道をしっかり捉えることが重要である。さらに、テキストから読み取ったことを手がかりにして、現代の倫理的問題についても考えてもらいたい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 9月、1月の授業の際に4000字以上のレポートを提出してもらう。 それまで読んできた議論が踏まえられていること。 自分の主張が明確に説明されていること。 |
平常点 | 50 | 担当箇所のレジメ作成。 出席し議論に参加すること。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
アリストテレス(渡辺邦夫・立花幸司訳)『ニコマコス倫理学(上)』(光文社古典新訳文庫)、光文社、2015年、ISBN978-4-334-75322-1