シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
データ分析演習 | 2025 | 前期 | 水2 | 経済学部 | 高橋 将宜 | タカハシ マサヨシ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EC-EE3-46XS
履修条件・関連科目等
統計学の単位を修得済みか,それと同等の統計学の基本知識を有していること(統計検定2級合格)が望ましい.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>:この科目は,現実把握力の修得に関わる科目である.ここで,現実把握力とは,経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき,現実の経済現象を的確に把握することである.
<概要>:日本に来訪する観光客を増やすには,我々は何をすればよいだろうか? この問いのように,ある要因Yを変化させるためには,別の要因Xを操作する必要がある.このとき,要因Yを結果,要因Xを原因と呼ぶ.つまり,原因と結果の関係(因果関係)である.この例では,要因Yが観光客数であり,要因Xが何なのかという問いである.社会に関するデータを分析するには,さまざまに絡み合った要因同士を適切に統制して,興味のある因果関係を見つけ出して推論する必要がある.それが,この授業のテーマである統計的因果推論である.2021年のノーベル経済学賞は,AngristとImbensという計量経済学者が受賞した.その理由は,「因果関係の分析に対する方法論的な貢献に対して」だった.このように,統計的因果推論は,近年,世界的にさまざまな分野で注目されている.本授業では,統計的因果推論の基礎的な考え方と応用的な技術について学ぶ.
科目目的
統計的因果推論の考え方と技術を身に付けて,Rを用いて実践できるようにする.
到達目標
統計的因果推論の基礎的知識と技術を習得し,社会の諸課題を統計的因果推論の考え方と手法に基づき多角的に分析し,課題解決や価値創造を図ることができる.
データ分析手法の背後にある前提とその限界,データの種類や背景に応じて使用する統計手法が変わることを把握しつつ,適切なデータ分析手法を選択できる.
授業計画と内容
次のような授業計画を基本パターンとして,実際の授業は,受講生の習熟度を考慮しながら進める.
[1] シラバスの確認等,Rの導入,統計的因果推論の基礎の基礎(教科書,第1章)
[2] 潜在的結果変数の枠組み(教科書,第2章)
[3] 統計的因果推論における重要な仮定(教科書,第3章)
[4] 推測統計と重回帰分析の復習(教科書,第4章~第6章)
[5] 重回帰分析の仮定と限界(1)(教科書,第7章~第9章)
[6] 重回帰分析の仮定と限界(2)(教科書,第7章~第9章)
[7] 重回帰分析の仮定と限界(3)(教科書,第7章~第9章)
[8] 傾向スコア(教科書,第10章)
[9] 傾向スコアマッチング(教科書,第11章)
[10] 傾向スコアによる層化解析法(教科書,第12章)
[11] 傾向スコアによる重み付け法(教科書,第12章),操作変数法の基礎(教科書,第13章)
[12] 操作変数法の応用:非遵守への対処(教科書,第14章)
[13] 回帰不連続デザインの基礎(教科書,第15章)
[14] 回帰不連続デザインの応用(教科書,第16章,第17章)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前学習:教科書の指定された箇所を読んで要点をノートにまとめる.
事後学習:教科書・講義資料を復習する.
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 50 | 計算問題・用語問題・Rによる演習問題を中心に基本的な理解度をテストし,そのスコアで評価する.(A4以下の手書きノート1枚の持ち込み可) |
平常点 | 50 | 計算問題・用語問題・Rによる演習問題を中心に基本的な理解度をテストし,そのスコアで評価する. 小テスト(A4以下の手書きノート1枚の持ち込み可) |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
R言語についての解説を適宜提供する.
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書:高橋将宜(2022)『統計的因果推論の理論と実装:潜在的結果変数と欠測データ』(共立出版)
その他特記事項
具体例を用いて統計的因果推論の基本的な考え方と技術を理解してもらう予定であり,数式による証明などは最小限にとどめるつもりである.しかし,統計学の学習において,初歩的な数学的素養(表現・言葉としての数学)や計算は不可欠であり,その心構えが必要である.
統計学は「積み上げ」式の学習が必要である.最初の方の授業は,一見すると簡単に思えるかもしれないが,1つ1つが積みあがっていくので,気を抜かずに毎回の授業および課題に取り組むこと.
参考URL
特になし