シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
米国経済論 | 2025 | 前期複数 | 水4,水5 | 経済学部 | 塙 武郎 | ハナワ タケオ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-NE3-52XX
履修条件・関連科目等
アメリカ経済、アメリカ社会に関心があること。人種、貧困、格差、地方自治、教育、医療、福祉、交通、都市開発、軍事等の各分野の政策や課題に関心があることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
本講義の目的は、映画、実際の現地デジカメ画像、ニュース等を活用しながら、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、デトロイト、シアトル、ポートランド等の大都市を事例にしながら、アメリカ社会独特の普遍的価値、それを体現する制度や政策、特に軍事、外交、財政、教育、医療、交通、都市政策等の内政課題について詳しく学習する。総じて「超大国」アメリカの経済の豊かさ(強さ)、またその裏側に存在する貧しさ(弱さ)や経済格差という構造的イシューをメディア教材を活用しながらその要因や特質をリアルに学習する。時期区分としては1960年代ケネディ・ジョンソン以降を扱う。1980年代レーガン、1990年代クリントン、2000年以降のブッシュ、オバマ、トランプ、バイデン、現トランプ各政権の政策や課題を扱う。
科目目的
本講義の目的は、現代アメリカ経済の豊かさとその裏側に存在する貧困や格差といった構造的問題の特質や要因について1960年代以降の経済政策を手掛かりとして学習することにある。画像、映画、ニュース等メディア教材を活用しながらリアルに学習することに力点を置く。また後半ではニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、デトロイト、シアトル、ポートランド等の大都市を事例にしながら、州や地方自治体レベルで運営される教育、医療、福祉、交通、都市開発、地方財政ファイナンス等の内政課題について具体的に学習する。
到達目標
・アメリカ経済社会を貫徹する普遍理念「自由」や「自立」の意味を理解し、自分の言葉で説明できる。
・経済格差の構造的な原因を経済学の視点から理解し、説明できる。
・教育や福祉や交通といった内政分野、公共性の強い分野における政府の役割や課題を理解し、自分の考えを論述できる。
授業計画と内容
1.ガイダンス ー「超大国アメリカ」の位置-
・講義ガイダンス
・アメリカ経済社会の豊かさと普遍的価値
2.アメリカの連邦制と国家ガバナンス
・2008年大統領選挙に学ぶ二大政党制と政策的相違
・連邦政府の法的権力と変遷と補助金
3.自由と自立、「小さな政府」と保守主義
・「小さな政府」の現代的本質
・レーガン演説に学ぶ
4.グローバリゼーションと自由経済(その1)
・「ブレトン・ウッズ体制」
・IMF・GATTからWTOへの移行
5.グローバリゼーションと自由経済(その2)
・金融危機とウォール街・投資銀行の苦悩
・自己勘定と金融工学
6.グローバリゼーションと自由経済(その3)
・金融危機によるデトロイト自動車産業の崩壊
・オバマ政権による救済とUAW
7.グローバリゼーションと自由経済(その4)
・ITバブルと「ウィンテル体制」の覇権
・GAFAとクリエイティブ・インダストリー
8.産業構造と労働政策(その1)
・人種と教育歴・所得格差
・グローバル化と労働編成
9.産業構造と労働政策(その2)
・製造業の雇用と衰退
・デトロイトの事例
10.産業構造と労働政策(3)
・1997年「福祉改革」と自助努力の強化
・シカゴの就労促進政策と公共交通
11.産業構造と労働政策(4)
・1970年代以後アメリカ農政の大転換
・トウモロコシ生産の現状
12.産業構造と労働政策(5)
・軍需産業と戦時経済の価格統制
13.産業構造と労働政策(6)
・戦後の連邦政府と研究開発・大学・技術移転
14.アメリカ経済の強みと弱み
・講義全体の総括と質疑
15.トランプ政権とアメリカ覇権と価値の変質
・トランプ誕生に学ぶアメリカの本音
・変容する普遍的価値と人種対立
16.3億人「移民国家」の内情(1)
・縮小する「アメリカン・ドリーム」とヒスパニック
・労働政策か移民政策か
17.3億人「移民国家」の内情(2)
・アリゾナ州の移民排撃とオバマ政権・最高裁
・州政治の保守化とトランプ政権誕生
18.日米経済の関係と再編(1)
・自動車「ビッグスリー」と生産台数
・自動車産業の南部シフト
19.日米経済の関係と再編(2)
・ボーイングの挑戦、トヨタとの連携
20.日米経済の関係と再編(3)
・川崎重工、日本車両のアメリカ進出
21.日米経済の関係と再編(4)
・トランプ政権の保護貿易と日本経済への影響
22.都市問題と再分配(1)
・人種のセグリゲーションと地方自治
・市が郡から「独立」する動き
23.都市問題と再分配(2)
・教育と格差 ―シカゴの事例-
24.都市問題と再分配(3)
・公共交通と都市政策 ―ニューヨークの事例-
25.第1次トランプ政権の経済政策(1)
・トランプ勝利とラストベルトの期待
・TPP離脱と保護貿易
26.第1次トランプ政権の経済政策(2)
・米中貿易摩擦と日本経済へのインパクト
・NAFTAからUSMCAへ
27.バイデン政権の誕生と自由貿易
・自由貿易・FTA交渉と日米経済の行方
28.第2次トランプ政権の経済政策と二国間交渉の行方
・講義全体の総括と質疑
なお上記はあくまで計画であり、学生の習熟度やアメリカ経済の時事動向に応じて適宜変更することがある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
普段からアメリカ経済に関する時事ニュース等をフォローするだけでなく、それらに対する疑問や見解をもち、講義で質問をすることが望ましい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 50 | ①戦後アメリカ経済を規定する基本原理の理解(20%) ②アメリカ労働市場の特質の理解(20%) ③連邦制、州・地方財政の構造と課題の理解(10%) |
平常点 | 50 | ①授業中のコメントペーパー等による理解整理、意見表明 ②講義の展開に応じて授業中の質疑応答 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業の中で個別に質問をすることで自分の見解を示し、また他の学生もそれに関するコメントを行うという形式を試みる。これにより主体的な学習態度と習熟度を獲得することができ、対面授業の価値を高める。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
授業時にrespon等を使用する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
●テキスト
・坂出健・秋元英一・加藤一誠編著『入門 アメリカ経済Q&A100』中央経済社、2019年。
●参考文献
・渋谷博史・樋口均・塙武郎編著『アメリカ経済とグローバル化』学文社、2013年。
・渋谷博史・塙武郎編著『アメリカ・モデルとグローバル化Ⅱ』昭和堂、2010年。
・地主敏樹・加藤一誠・村山裕三編著『現代アメリカ経済論』ミネルヴァ書房、2012年。
・塙武郎『アメリカの教育財政』日本経済評論社、2012年。
その他特記事項
・講義はパワポを使用します。各自、必ず講義中はノートテイクをしてください。