シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅰ | 2025 | 春学期 | 火4 | 商学部 | 藤木 裕 | フジキ ヒロシ | 3年次のみ | 2 |
科目ナンバー
CM-IF3-11XS
履修条件・関連科目等
3年次配当の事前登録科目です。
演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・論文はセット履修科目です。
どの学科の学生でも履修可能です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
大学生への金融教育を提案する:社会人に必要な金融知識を大学でどう習得するか?
商学部の皆さん、こんにちは。卒業後に皆さんは様々な仕事について社会に貢献されると思います。そのために、皆さんは今中央大学に在籍し、自分に投資して能力を高め、高所得を得られるようにする準備をしておられると思います。ところが、人生では、お金をたくさん使いたくなる時と、お金がたくさん稼げる時は一致しないことの方が多いのです。例えば、引退後は収入はありませんが、生活費は必要です。
少子高齢化が進む中では、自分自身でも引退後に備えて蓄えをする必要が出てきています。国や会社が運営している年金もありますが、その給付金の水準は老後の平均的な生活費を賄うには不十分な時代になっているからです。金融論では、将来に備えて蓄えを増やすには、長いことかけて、一定の金額をこつこつと、株式に分散投資をすることが有効だとされています。日本政府も、NISAやiDeCoという仕組みでそうした個人の努力を税制面から支援しています。長いことかけるのは意味があり、株の価格が下がってしまう影響を時間をかけて打ち消していくためです。株価の暴落に驚いて投資を辞める人もいますが、40年先を見据えれば、同じ投資金額でも低い価格でたくさんの株式を買い付けられるチャンスかもしれません。分散投資するのには意味があり、ある株式が下がっても他の株式が上がれば損害は限定されるかもしれません。
漠然と将来が不安だから、といっても、必ず貯蓄や資産運用が必要かというと、そんなことはありません。貯蓄や資産運用それ自体は目的ではなく、自分が理想とする生活を将来送れるようにするための手段の一つに過ぎないだからです。まずは、ご自分の将来の生活設計が先にあり、そのために必要な資金をどう稼ぐかを考えましょう。例えば、自分でたくさん稼げそうだから、とか、親から財産をもらえそうだから、という見込みがあれば、資産運用について今から考える必要はないかもしれません。むしろ、稼げる力を伸ばすことに時間を使った方が良いと思います。しかし、自分の将来の生活設計からみて、資産運用も必要だなと思った場合は、「長いことかける」のが成功の秘訣のひとつなので、引退後の備えを卒業後すぐ始めることが有益です。実際、半分ぐらいの事業会社の企業年金は、自分の責任で運用し、増やす仕組み(確定拠出年金といいます)になっており、会社に入った直後から自分の資産運用の巧拙が問われます。手持ち資金を貯蓄にどらくらい回せるかは個人ごとに異なります。大きな金額は無理でも、例えば月に1000円からであっても、長いことこつこつと株式に積み立てることは可能です。金融知識がないことの損は、最初の1-2年は大したことはないかもしれませんが、一生涯損が積み重なっていきます。ですから、大学生のうちに社会人に必要な金融知識をつけませんか。
当ゼミでは、3年生の前期にはなぜ資産運用が必要か書物を読んで勉強し、3年生の後期には大学生のうちに社会人に必要な金融知識を習得し、卒業後の資産運用に備えます。具体的には、FP3級がカバーするライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続、事業承継の知識を学びます。知識の水準としてはファイナンシャル・プランナー(FP)3級相当の知識をめざしますので、FP3級の試験を受け、資格を取っておけば就職活動でも有利です。
4年生になったら、2~4名1組で「金融リテラシー(生活設計や金融商品の選択等を適切に行うために必要となる金融知識・判断力)向上に向けた金融教育の方法」に関して、「社会人に必要な金融知識を大学でどう習得するか」というテーマの小論文を自分たちの3年生の学習経験を踏まえて書き、日銀グランプリに応募(9月末締切)し、大学生への金融教育を提案しましょう。例年通りなら、日銀グランプリの要求する小論文は要約<400字以内>、本文<4,000字以上6,000字以内>、図表<5つまで>、参考文献からなります。日銀グランプリの小論文審査を突破すると、11月の日銀グランプリ決勝大会でプレゼンができます。商学部では2名共同の卒業論文執筆が認められているので、決勝大会の準備と並行して、小論文をもとにした卒業論文を書きましょう。
日銀グランプリの実施要項(2024年)のリンクは以下の通りです。
https://www.boj.or.jp/about/nichigin_gp/ngp_release/ngp240507.htm
当ゼミは、大学生のうちに社会人に必要な金融知識を身につけたいと思っている方を歓迎します。金融に関する前提知識は不要ですので、金融学科以外の学生の参加も歓迎します。例えば、金融学科以外の学生であっても、公務員、税理士、公認会計士志望で金融の知識が必要だと思っている方、起業するので公的年金にはあまり頼れないが自分の老後の設計をどうしたらよいか、と思っている方などを歓迎します。
なお、ゼミでの報告資料を作成する前提知識となるアカデミックライティングについても、最初の3回で復習します。
教科書は以下の通りです。新しい出版物が利用可能になった場合は、受講生と相談の上、教科書を変更する可能性があります。
山口裕之「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」新曜社:2013年
ISBN:978-4788513457
後藤元・小野傑・守屋貴之[編]「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」 2024年 金融財政事情研究会 978-4-322-14449-9
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111796 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの問題集 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111833 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
科目目的
この科目は、カリキュラム上の「商学部アドヴァンスト科目」であり、商学部スタンダード科目及び商学部分野別専門科目の発展的な科目として位置づけされています。この科目での学習を通じて、主体的学習能力を習得することを目的としています。
この科目での学習を通じて、学生は資産運用を含むFP3級水準の金融知識を身につけたうえで、日銀グランプリにおける小論文発表を行うことにより、自己管理による主体的学習能力を習得することが期待されています。
到達目標
本科目では、卒業するにあたって備えるべき知識・能力・態度のうち、以下の点を到達目標とします。
学生は、ファイナンシャル・プランナー(FP)3級相当の知識を修得し、なぜ資産運用が必要かを理解することを通して、経済活動において必要となる、金融の理論や実務を修得すること。
学生は、ゼミでの学習経験を踏まえて「金融リテラシー向上に向けた金融教育の方法」に関する小論文を共同執筆し、日銀グランプリにおける発表を行うことを通して、多様性を理解・尊重しながら他者と協働することができる力と、自己管理による主体的に学びを継続する力をつけること。
授業計画と内容
演習ⅠからⅡでは、以下の文献を輪読します。受講生が分担してレジメを作り、報告をします。
山口裕之「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」新曜社:2013年
ISBN:978-4788513457 アカデミックライティングの復習のためのテキストです
後藤元・小野傑・守屋貴之[編]「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」 2024年 金融財政事情研究会 978-4-322-14449-9
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111796 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの問題集 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111833 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
ゼミ開講時までにもっと良い文献がみつかった場合は、学生と相談の上適宜変更します。
文献の輪読に加えて、演習Ⅱでは日銀グランプリでの小論文発表のスケルトンのプロポーザルを発表し、卒論の方向性をを固めます。演習Ⅱ終了までに、FP3級の試験を希望する者は受験します。
演習Ⅱ終了後すみやかに小論文の執筆を開始します。
演習Ⅲでは小論文の進捗報告、演習Ⅳでは卒論の進捗報告と発表をします。
日程は以下の通りです。
演習Ⅰ
1 顔合わせ、演習1,2の発表分担の決定
2「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」ステップ1
3「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」ステップ2
4「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」ステップ3
5「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」1章
6「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」2章
7「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」3章
8「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」4章
9「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」5章
10「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」6章
11「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」7章
12「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」8章
13「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」9章
14「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」10章
演習Ⅱ
15「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 ライフプランニングと資金計画前半
16「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 ライフプランニングと資金計画後半
17 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 リスク管理前半
18 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 リスク管理後半
19 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 金融資産運用前半
20 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 金融資産運用後半
21 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 タックスプランニング前半
22 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 タックスプランニング後半
23 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 不動産前半
24 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 不動産後半
25 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 相続、事業承継前半
26 「みんなが欲しかった! FPの教科書・問題集 3級 相続、事業承継後半
日銀グランプリ小論文グループ分け
27 日銀グランプリ小論文スケルトンのプロポーザル
28 日銀グランプリ小論文スケルトンの発表
演習Ⅲ
29 春休み中の小論文進捗状況の報告
30 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
31 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
32 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
33 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
34 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
35 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
36 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
37 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
38 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
39 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
40 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
41 小論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
42 小論文を日銀グランプリに応募(9月30日締切)、卒業論文執筆方針の報告
演習Ⅳ
43 卒業論文進捗状況の報告
44 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
45 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
46 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
47 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
48 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
49 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
50 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
51 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
52 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
53 卒業論文進捗状況の報告(前回のコメントに対応)
54 卒業論文発表
55 卒業論文発表(54回のコメント対応)
56 卒業論文発表(55回のコメントに対応した学部提出最終版の発表)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
自分が発表に当たっていない回も必ず該当箇所に目を通し、発表者に質問ができるように準備してきて下さい。小論文の発表の際は、他のグループの発表を改善する建設的なコメントができるように練習を積んでください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 50 | 担当する章の発表を適切に行ったかどうか。 小論文、卒論関係のプロポーザル、経過報告を適切に行ったかどうか。 |
平常点 | 50 | 授業中の討論への参加。最低1回は発言したか。他のグループの発表を改善することに貢献したか。 無断欠席した場合は、減点します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
山口裕之「コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ」新曜社:2013年
ISBN:978-4788513457 アカデミックライティングの復習のためのテキストです
後藤元・小野傑・守屋貴之[編]「動き出す『貯蓄から投資へ』: 資産運用立国への課題と挑戦」 2024年 金融財政事情研究会 978-4-322-14449-9
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111796 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
滝澤ななみ「みんなが欲しかった! FPの問題集 3級 2024-2025年」2024年
TAC出版 978-4300111833 (2025-26年版が出版されていればそちらを使います)
その他特記事項
〔ソフトウエア利用について〕
卒業論文を執筆する際に実証分析を行う場合は以下のソフトウエアのいずれかを使うことを推奨します。
R (統計ソフト)と R Studio (R を使うための開発環境)
Stata (統計解析ソフト)
〔募集人数〕
15名
〔注意事項〕
予習・復習・レジメ作成に時間が必要です。
地道な努力をいとわない人を募集します。無断欠席は減点になります。
〔募集方法〕
1.書類選考と面接
2.書類選考を希望する学生は、学籍番号、氏名、学科のほか、以下2つのことをA4用紙ワープロ打ち2枚以内で、指定されたマナバのレポートのコーナーから提出してください。
1.あなたがこのゼミで勉強してみたいことについて書きなさい。
2.C大学のA先生とB先生が試験をします。A先生は60点以上の生徒を合格に、B先生は上位60%の生徒を合格にするそうです。どちらの先生のテストが生徒の力を引き出すために有効だと思いますか。理由を添えて説明しなさい。
〔国外実態調査〕
実施しない