シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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実定法基礎演習A | 2024 | 春学期 | 水4 | 法学部 | 麻妻 みちる | アサヅマ ミチル | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-LA2-004S
履修条件・関連科目等
本ゼミは、教科書を初めて精読する、初学者を対象とする基礎ゼミです。
履修条件などは特にありませんが、演習授業ですので無断欠席をせず仲間と交流しながら積極的に参加してください。
毎回テキストの指定範囲を読み込んで来る苦行に食いついてこられる学生を歓迎いたします。
なお、万一途中で参加を辞められる方は、一緒に学ぶ仲間に迷惑をかけますので、応募は遠慮してください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
★【原則全て面接授業を行う】
Webex Meetingsを利用したオンライン授業の環境も整え、面接授業の出席が困難な特段の事情がある場合には面接授業にオンラインで参加できるように備える予定です。
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以下、授業の進め方などについて具体的に示します。
授業前に共通テキストの指定された範囲を全員が丁寧に読み込み、関連判例にも目を通して予習をして参加することが前提です。
履修者全体を2~3人ひと組の班に分け、少しずつ担当報告することで、皆さんの負担を軽減する方法を採ります。
担当班は、共通テキストの該当部分を熟読のうえ、テキストから読み取ることのできる重要論点や基礎事項を確認するための質問を準備し、ご自分の思考の流れがわかるような簡単なレジュメを事前に作成します。たとえば、担当する範囲にどのような問題となる点があるのか、その点がどうして問題となりうるのか、判例の立場の理解は正しいかなど、質問形式で準備するには相当程度の教科書の理解が必要です。予習段階で生じた自らの疑問も含めて、仲間と十分議論を積み重ねて準備してください。
担当者の報告後、不足や誤りがあれば教員が補いますし、授業前や授業後にもmanabaやメールなどを利用して補足、フィードバックします。
演習授業ですので1人ひとりが主体的に参加してください。各人がインプットしてきた知識は仲間との質疑応答というアウトプット作業を通して明確な理解につながりますし、地道な精読を重ねることで最終的には自力で基本書を読解できる力を身につけ、ひいては著者の立場を批判的に読む眼を養うことにもつながります。
2~3人ひと組の班単位で活動します。グループワークを通して、相互に補い合いながら負担を軽減するとともに、準備段階や授業中に気軽に議論し切磋琢磨することでゼミ員同士の交流の機会を増やすこともそのねらいとなります。
科目目的
「実定法基礎演習」は、カリキュラム上基礎科目として位置づけられますので、刑法総論の共通テキスト及び重要判例を正確に読む訓練を通じて、自学自習できる基礎的能力を養うことを第一の目的とします。そして、物事を緻密に考え、批判的に捉える思考ができるように訓練を積み、刑法総論の基本知識を定着させ、体系的に理解できるようになりましょう。
毎回テキストを読むプラクティスを重ねることによって、「正確に読む」ということはどういうことなのかを体得し、一人の人物の見解を正確に理解していきます。また、毎回負担とならない程度の担当報告を行うことで、自らが理解した知識を他者にわかるように説明できることも目指します。高年次での演習や議論に備えるよい経験となることでしょう。
到達目標
ゼミ員の皆さんの学習修得度に応じて、具体的な目標をその都度設定します。
たとえば、
・共通テキストについて理解に間違えがないように正確に読むことができる。
・共通テキストについて自分の理解した内容を思考の流れがわかるように書き記すことができる。
・基本事項の確認ができる問いを作成することができる。
・判例の立場を正確に理解し他者に説明することができる。
・共通テキスト及び重要判例を精読した後、共通テキストや判例の立場もひとつの考え方と理解し、批判的に検討することができるなど。
14回の授業を通して段階的なレベルアップを実感していただきたいと思います。
総合的には、「読む」、「書く」、「他者に説明する」能力を今よりも向上させましょう。
また、法律の問題を検討するなかで他者に「質問をする」及びそれに「応答する」ということは、どういったものであるべきかについて修得できることもねらいとしています。
授業計画と内容
春学期に開講される本講座では、刑法総論の共通テキストをその順番にしたがって以下のスケジュールで進める予定です。
1 ガイダンス、刑法の基本理論、罪刑法定主義
(初回から授業を進めます。必ず下記指定教科書を入手し持参してください)
2 犯罪論の基本構造 構成要件1 構成要件の概念、法人の犯罪能力
3 構成要件2 因果関係
4 構成要件3 不作為犯
5 構成要件4 構成要件的故意、具体的事実の錯誤
6 構成要件5 具体的事実の錯誤、抽象的事実の錯誤
7 構成要件6 過失
8 違法性1 違法性の本質、正当防衛(防衛状況)
9 違法性2 正当防衛(防衛行為)、緊急避難
10 責任1 責任の意義、責任能力
11 責任2 責任故意、違法性の意識の可能性
12 未遂犯、不能犯、中止犯
13 共犯1 基礎理論、間接正犯、共同正犯、教唆犯、幇助犯
14 共犯2 共犯の諸問題
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
【授業前に】本演習科目では予習が大切です。全員が共通テキストの指定された範囲を毎回丁寧に読み込み、関連する重要判例にも目を通し、しっかり予習を行ってください。なお、予習準備をする際の留意すべき具体的学習ポイントなどについては、事前にmanabaコースコンテンツでお知らせします。
【授業前に】担当班は、共通テキストの該当部分を熟読のうえ、テキストから読み取ることのできる重要論点や基礎事項などを確認するための「問題Q」を中心に、ご自分の思考の流れがわかるようなレジュメを作成し、事前に提出してください。
【授業直前及び授業後】担当班作成の「問題Q」について、授業前に同じ班の仲間と検討してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 50 | 出席していることを前提に、毎回の授業への参加・貢献度、受講する姿勢(意見の表明、積極的に学びを深めようとする姿勢、他の学生と強調して学ぶ態度など)から総合的に評価します。 |
その他 | 50 | 担当班としてレジュメを作成する「課題」を提出し、授業当日それを報告すること、その他与えられた課題に対する取り組み状況から総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
無断欠席をしないなどの基本的なことから、仲間と積極的にコミュニケーションを図る、教科書の引き写しだけでなく自分の頭でしっかり考える等まで、誠実で真摯な態度でゼミに臨んでください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業では、たとえば担当班の報告に不足や誤りがある場合などその都度補って参ります。
また、次の授業回の冒頭では必ず前回授業の振り返りや補足解説時間を設け、記憶の喚起と授業の連続性を大切にしたいと考えています。
加えて、レジュメや出題問題、授業での報告、質疑応答などに関して、メールを利用して班ごとに簡単な講評も行っています。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
共通テキスト;これまでご自分で勉強してきた教科書は大切にしていただきたいのですが、本講座では同一教科書について全員で理解、議論していくため、授業で使用する共通テキストとして次の教科書を指定いたします。必ずお手元に手に入れ、初回から毎回ご持参ください。
大塚裕史ほか『基本刑法Ⅰ 総論 第3版)』(日本評論社、2019年)
参考文献;判例学習のため、以下を共通参考資料といたします。
(なおこの判例資料については授業内で必要に応じてデータを配信します)
佐伯仁志・橋爪隆編『刑法判例百選Ⅰ 総論(第8版)』(有斐閣、2020年)
参考テキストとして次の文献をお勧めします。
只木誠『コンパクト刑法総論 第2版』(新世社、2022年)
井田良『講義刑法学・総論(第2版)』(有斐閣、2018年)
そのほか参考文献については適宜授業内で紹介します。
その他特記事項
■授業の工夫■ この科目は、「読む」、「書く」、「他者に説明する」という基礎的な学習に加え、事前にグループ学習を行いながら学生自ら問いを作成し、それを全員で検討するという主体的に学習を進める方法を採り入れています。
刑法は、勉強を始めてまずは一貫した立場で全体を理解することが大切です。薄くはない教科書を正確に読み続けることは容易なことではありませんが、ゼミ終了後には確実に達成感を得ることができます。大学2年生の今、今後のご自分の勉強方法をつかむきっかけとしていただきたいですし、実際に毎年、総論・各論と地道な精読を通年で続けられたゼミ生の成長を実感いたしますので、通年履修をお勧めいたします。
学部の刑法総論の講義と並行しますので、結果的に本演習が予習・復習となると感じる方も多いようです。
また、基本書を手にしてみたものの、まだ通読の経験が一度もない方、ある程度の強制力がはたらかないと1人ではなかなか物事をやり遂げられない方など、短期集中して学びたい方に向いていると思います。
来たるべき日(本ゼミでは担当報告当日)のためにできうる限りの準備をし、それを繰り返し、積み重ねる経験をすることで、ご自分がどう変化し、何を修得できるのか。その実感は他人から教えられるものではありません。一緒に頑張りましょう。