シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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実定法基礎演習A | 2024 | 春学期 | 水5 | 法学部 | 谷井 悟司 | タニイ サトシ | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-LA2-004S
履修条件・関連科目等
形式的な履修条件は指定しない。ただし、学習のモチベーションを維持するためにも、刑法に興味・関心のあることが望ましい。また、演習科目のため、履修者には授業への主体的な参加が求められる。具体的には、予習の上で毎回ゼミに出席し、積極的に発言しようとすることが必要となる。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「法は、法律学を通してしか、したがって教科書を通してしかそれを学ぶことはできない」(井田良「教科書の使い方」法学教室471号(2019年)36頁)。本演習では、このことをキーワードに、基本書(=教科書)の精読を通して刑法総論を学ぶ。
本演習は、履修者を2~3人のグループに分けた上で、各回、次のような流れで進める。
①指定範囲のテキストを履修者全員が熟読した上で、当該範囲についてテキストの要約内容などを担当グループに報告してもらう。
②報告後、各グループで報告内容について議論した上で、疑問点などを互いに提示し合う。
③これを踏まえて、全員で議論する。
④全体での議論を経てもなお残った疑問点や、新たに見えてきた問題などについては、授業後も、各自で復習する。また、これについて担当グループには追加調査を行ってもらい、次回授業冒頭で簡単に報告してもらう。
なお、本演習では、必要に応じて、関連判例の分析や事例問題の検討を行う機会も設ける。
科目目的
本演習科目は、法律学科の専門教育科目のうち、法曹コース・公共法務コース・企業コースに共通する基幹科目として位置づけられていることから、いずれのコースにおいても必要となる、法律学習に不可欠な基本書を読み解く力の涵養を図ることを目的としている。
到達目標
本演習科目では、しばしば抽象的なものと思われがちな刑法総論の重要論点について、問題の所在(何が問題となっているのか)やありうる理論構成(その問題についてどのように考えることができるのか)などを基本書の記述から正確に読み取り、そこから自分なりの考えを組み立てられるようになることを目標とする。
これと附随して、演習科目の性質を活かし、法律情報(文献や判例など)を調査・収集する能力や、自分の理解や考えを人に分かりやすく伝えるためのプレゼンテーション能力などを体得することも目標としている。
授業計画と内容
刑法総論の各論点のうち、とくに重要と思われるものを取り上げ、基本書を正確に読むトレーニングを重ねていく。
1.ガイダンス
2.担当教員による報告のデモンストレーション
3.因果関係①(基礎編:問題の全体像を素描する)
4.因果関係②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
5.不作為犯①(基礎編:問題の全体像を素描する)
6.不作為犯②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
7.故意と錯誤①(基礎編:問題の全体像を素描する)
8.故意と錯誤②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
9.過失犯①(基礎編:問題の全体像を素描する)
10.過失犯②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
11.正当防衛①(基礎編:問題の全体像を素描する)
12.正当防衛②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
13.共同正犯①(基礎編:問題の全体像を素描する)
14.共同正犯②(応用編:個別の問題を掘り下げる)
※2~14回についてはすべて、プレゼンテーション(報告)、グループワーク(グループ単位での議論)、ディスカッション(全体での議論)を行う。
なお、履修者の問題関心や、理解度・学習進度に応じて、上記の内容に変更を加える可能性がある。
※前年度までの実施例
上記【応用編:個別の問題を掘り下げる】の授業回において、担当グループによる自作の事例問題を用いた解説講座を授業内容とした。
具体的には、担当グループのもとで事前にオリジナルの事例問題を作成し(併せて、解答例も用意する)、授業回当日、当該問題の解説を行ってもらう、というものである。問題演習を通じて、基本書から読み取った知識・理解を「実際に使う(実践する)」経験が得られるとともに、作問者(出題者)の視点に立つことで、反対に、問題解決者(解答者)として求められることを見極める訓練にもつながるものと考えている。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習:履修者全員がテキストの指定範囲を熟読すること。報告担当グループは、報告の準備を行うこと。
復習:報告担当グループはもちろん、それ以外の履修者も、テキスト・参考文献などを読み直すことで、ゼミで残った疑問点などを分からないまま放置しないこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 報告への取り組み、および、毎回の授業への参加姿勢を基準とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
上記平常点は、報告への取り組み:50%、毎回の授業への参加姿勢:50%の割合で評価する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:井田良『講義刑法学・総論〔第2版〕』(有斐閣、2018年)、最新版の六法(どれでも可)
参考文献:佐伯仁志・橋爪隆編『刑法判例百選Ⅰ総論〔第8版〕』(有斐閣、2020年)
そのほか、必要な場合には、適宜紹介する。
その他特記事項
■授業の工夫■この科目では、担当グループによる報告をもとに、履修者同士の議論を中心にゼミを進めていくことで、刑法総論の主体的な学習を促す。