シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ジャーナリズム論2 | 2024 | 秋学期 | 月2 | 法学部 | 七沢 潔 | ナナサワ キヨシ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-ME2-002L
履修条件・関連科目等
春学期の「ジャーナリズム論1」と同様、情報を自分で読み解き、社会のあり方を考えようとする積極的な皆さんの履修を期待します。履修者はとりわけテレビニュースやドキュメンタリーを視聴するようにしていただきたい。放送(テレビ)ジャーナリズムの歴史を学びながら、世界と日本の近現代史にも親しんでください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業は放送ジャーナリズムの歴史を学びながら、その成果と課題について、具体的な報道事例を取り上げながら検証していきます。放送はラジオの登場から約100年、テレビにおいては70年ほどの歴史で、数百年の歴史をもつ活字メディアに比べ、若いメディアです。しかし国家管理された電波を伝送路とするため、国家権力の干渉を色濃く受けてきました。授業ではそれと闘いながら、放送に携わる人々が何を成し、どんな失敗を重ねながらジャーナリズムとしての今日のあり様を作ってきたのかを、実際の放送番組などを見ながら考えていきます。そしてその経験が新しいメディア、インターネットの時代に変わる中で、どのように生かされていくべきかを考えます。
科目目的
春学期の「ジャーナリズム論1」に続き、テレビ・ジャーナリズムの歴史と今日の様相を考察します。それを通じて、噂や間違った情報に流されず、また固定観念にとらわれずに「映像」を正確に、批判的に読み解く力を養います。また「ジャーナリストは如何にあるべきか」を考えます。全体としてのメディアリテラシーの向上は報道関係を目指す人だけでなく、どのような道に進む人にも役に立つはずです。
到達目標
普段テレビ・新聞と疎遠な学生も、日々のニュースを断片的にネットで知るだけでなく、
テキスト全体をテレビ画面で確認し、友人や家族との会話で
背景まで議論できる素養を身に着けてください。。
講義ではマスメディアのポジティブな面もネガティブな面も取り上げますが、
歴史も含め、総合的に理解することでリテラシーを向上させましょう。
授業計画と内容
第1回 9月23日「放送現場でジャーナリストになった ~私の軌跡を語る」
第2回 9月30日 「それはラジオで始まった~放送ジャーナリズムの誕生(アメリカ編)」
第3回 10月7日 「ラジオ放送と統制、プロパガンダ(日本編)」
第4回 10月14日 「テレビの導入とアメリカの戦略」
第5回 10月21日 「テレビ・ジャーナリズムの誕生」
第6回 10月28日 「テレビ・ジャーナリズムの試練・権力の介入」+「レポート」
第7回 11月11日 「事例研究 テレビが伝えた沖縄① <沖縄戦>」
第8回 11月18日 「事例研究 テレビが伝えた沖縄② <基地問題>」
第9回 11月25日「事例研究 テレビが伝えた水俣① <空白の10年>」
第10回 12月2日「事例研究 テレビが伝えた水俣② <調査報道>」
第11回 12月9日「事例研究 テレビが伝えた原発① <安全神話に抗したか?>」
第12回 12月16日 「事例研究 テレビが伝えた原発② <フクシマ報道>」
第13回 12月23日 「テレビ・ジャーナリズムの課題」
第14回 1月6日 「ジャーナリズムの未来 ネット時代の中で」+「レポート」
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
■準備学習について■
参考文献を事前に読むなど、講義内容に関心が持てるように自習してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 100 | 中間、期末の2回のレポート提出は必須で、 すべてこの結果で成績を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポートの評価基準は A:授業内容を正しく理解し、自分の言葉で論理的に書かれている。
B:授業内容を正しく理解している。
C:授業内容の理解に一部誤りが認められる。
D:授業内容の理解にはなはだしい誤りが認められる。
E:レポートの体をなしていないもの、礼節を欠いたものなど。
F:未提出
とします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
長時間のビデオ映像を共有する場合、設定したYouTubeの専用チャンネルにアップロードした映像にアクセスして視聴することもあります。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
NHKのディレクターとして30年にわたり、、多くのテレビドキュメンタリー番組を制作してきました。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テレビ番組の現場や制作過程を知悉しており、その経験を生かした報道解説を行います。
また私的に録画した多くの映像素材や、ネット上のライブラリーにアクセスして授業内で引用し、
ビジュアルな面から受講生の理解を深めます。
テキスト・参考文献等
向後英紀・古田尚輝編著『放送十五講』学文社2011、2,916円
田草川弘著『ニュースキャスター~エド・マローが報道した現代史』中公新書2000、713円
有馬哲夫『日本テレビとCIA~発掘された「正力ファイル」』新潮社2006、720円
早稲田大学ジャーナリズム教育研究所編『レクチャー 現代ジャーナリズム』
早稲田大学出版部2013、2,808円
ETV特集取材班『ホットスポット~ネットワークでつくる放射能汚染地図』
講談社2012、1,600円
七沢潔著『テレビと原発報道の60年』彩流社2016、1,900円
花田達朗・別府三奈子ほか編著
『調査報道ジャーナリズムの挑戦~市民社会と国際支援戦略』旬報社2016 1,700円
林香里著『メディア不信』岩波新書2017 840円
渡辺将人『メディアが動かすアメリカ~民主政治とジャーナリズム』ちくま新書2020 920円
大森淳郎・NHK放送文化研究所『ラジオと戦争 〜放送人たちの「報国」』NHK出版2023 3600円
ほか
その他特記事項
授業内容の理解を深めたい方は、NHK放送文化研究所HP(下記参考URI)から、私の書いた論文「記録された沖縄の"本土復帰"~『同化』と『異化』のはざまで」(『放送メディア研究 No.8』 2011)、「原子力50年、テレビは何を伝えてきたか~アーカイブスを利用した内容分析」(『年報2008』)、
「新型コロナウィルスはどのように伝えられたか~テレビとソーシャルメディアの連関の中で~」(『放送研究と調査』2020年12月号、2021年1月号連載)
をダウンロードして読んでみてください。
http://www.nhk.or.jp/bunken/
参考URL
http://www.nhk.or.jp/bunken