シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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都市政策論 | 2024 | 春学期 | 金3 | 法学部 | 斉田 英子 | サイタ エイコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-026L
履修条件・関連科目等
都市計画、都市開発、まちづくり、地域コミュニティに関する事柄に興味関心をもつ学生を想定しながら講義を行う。都市政策は暮らしを支える側面があり、受講者は一生活者として、各課題を自分事として捉えて欲しい。東京都市圏ばかりでなく地方中小都市の現状や課題、諸外国の事例も取り上げながら、多面的に課題を考え、議論できるよう構成する。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義は、ハードとしての都市計画を補完するソフトとしての都市政策を学び、「暮らしやすさ」について掘り下げる。政策形成過程に「対話」は不可欠であるが、政治のみならず、教育現場、日々の暮らしにおいて私たちの対話力は乏しいのが現状である。考えの異なる他者同士がどのように話し合いを重ねることができるだろうか。本講義の根底には「対話」がキーワードにある。都市の諸課題の解決のプロセスには、関係づくりの再構築がある。講義内容をヒントに、受講生自身が、実生活における具体的な行動につながるよう議論を展開したい。
また、人口減少、少子高齢化、晩婚や未婚率の増加、単身世帯の増加、空き家の増加、共働き世帯の増加、働き方の変化等々は、都市政策においてどのように扱っていく必要があるだろうか。各都市、各地域がもつ課題は一様ではなく、多様なライフスタイルや価値観の変化の中では「正解」はない。未来のビジョンをしっかり描きながら出来ることから実行に移すことが大切である。
一人ひとりが意見をもち、どのように暮らしたいかの答えを探すプロセスに方向性が現れていく。住民参加、協働、共生といったキーワードはますます重要である。
東京都市圏ばかりでなく、地方中小都市の事例も取り上げる。受講生からはご自身の出身地等の情報も調べ提出してもらい、議論に取り上げていきたい。諸外国事例としては、デンマークを中心とした北欧の都市政策事例は積極的に扱う。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の展開科目に位置づけられており、この科目での学習を通して、学生が都市や都市生活に関する課題への認識を深めるとともに、都市政策の基礎知識を習得することを目的とする。
到達目標
社会情勢の変化を踏まえ、中長期的視野にたち、これからの社会、都市、地域について展望し、自治体の都市政策活動を考察する。
多様性を楽しむ都市/社会を目指し、都市問題の課題解決、都市政策におけるビジョン構築について、講義中の議論、文献資料等を踏まえ、自分のことばで論述する。
授業計画と内容
第1回 ガイダンス
第2回 日本の都市計画の限界と課題 :都市の拡大と縮小、暮らしの変化
第3回 住民参加、対話、コミュニケーション:成熟した民主主義へ
第4回 遊び場、余暇空間としての公園、緑地
第5回 都市の交通事情、交通政策
第6回 防災まちづくり
第7回 美しい都市 :景観、賑わい、観光まちづくり
第8回 コンパクトシティ:日本における現状と課題
第9回 コンパクトシティ:諸外国の動き
第10回 スマートシティ・SDGs:各国の動き
第11回 世帯構成の変化と支え合い:単身者、共働き世帯の増加
第12回 世帯構成の今後を見据えて:高齢者の暮らしと地域の見守り
第13回 多様性を楽しむ
第14回 まとめ:今後の都市政策に向けて~私たちに出来ること
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
日々の新聞等の報道に関心を持ちましょう。
日々の暮らしの中で様々な興味関心をもち積極的に書籍や資料を収集したり、自分事として考えること。友人知人同士で議論するとなおよい。
国内外の都市、地域の情報を意識して見ておく(適宜、こちらから資料等を提示する)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 問いに対して与えられた字数内での論述し、読みやすいものとしてまとまっているかを重視する。特に、自身で調べたことや自身の意見を客観的に挿入すること。 |
平常点 | 40 | 講義への出席(事情により欠席の場合は事由の連絡のこと)、講義への積極的な参加や貢献度。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
・熊本市等、熊本県内の複数の都市における都市計画マスタープラン、景観、住宅、高齢福祉等の計画策定プロセスに識者として参加、議論を重ねた。
・また、国際コーチング連盟(ICF)コーチ、国家資格キャリアコンサルタントとして活動。コミュニケーション・対話に関するセミナーや講演講義も多数実施。2018年より起業(ヒンメル・コンサルティング)。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
・都市政策(マスタープラン等)策定過程における都市のビジョンを、様々なデータをもとに自治体、各関係者、住民等と議論を重ねて策定してきた経験から、都市を見る視点について講義の中で伝えていく。
・住民参加によるワークショップ、話し合いに関する難しさと楽しさについて講義の中で取り扱う。
テキスト・参考文献等
以下、3冊は共著・単著関連であり、講義中に参考として扱いますが、もちろんすべてのページを扱うわけではありません。準備しておくことを勧めますが、講義期間中に図書館等での利活用を含めて、柔軟に対応ください。
①谷口守編著『世界のコンパクトシティ 都市を賢く縮退するしくみと効果』学芸出版社(2019年)
②斉田英子『家族で話し合いをしてますか 「伝わらない」「わかり合えない」がなくなる本』PHP研究所(2021年)
③斉田英子『デンマークの対話が生まれる空間づくり~small gathering』西山夘三記念 すまい・まちづくり文庫(2022年)
①は世界の最新事例です。世界事例に興味がある学生にはオススメ。カラー写真入りで読みやすいです。②は一般書として記した拙著ですが講義全体を通して考えていきます。人間関係、対話やコミュニケーションに関心がある学生にオススメします。③はデンマークのまちづくり最新事例です。薄いブックレットです。デンマークの「すべて」が分かります。
その他特記事項
■授業の工夫■受講生からの意見や質問を積極的に収集し、双方向の意見交換となるように進めていく。都市政策を多面的に捉え、理解を深める。
参考URL
https://www.tenki-saita.com/