シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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基礎演習1 | 2024 | 春学期 | 木3 | 法学部 | 谷﨑 秋彦 | タニザキ アキヒコ | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-001S
履修条件・関連科目等
思想に興味があり、共同して思想書を読むことを有意義だと思う人。自分の見解を表明し相手を説得することに、および他者の見解を尊重して聞くことに興味をもっている人。
「哲学史」「宗教学」などの履修は必須ではありません(先行条件 なし)。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
難しめのテクスト(哲学者の書いたもの、など)を読みつつ、討議などを行う。
テクスト本文の基本的な理解、それに先立って押さえておく前提についての習得、本文を各自の視点から読み解き、発展的な議論を行う、のような形式で進んでいく予定です。
最初の方の数回は、すりあわせが主眼となるため、難しいテクストを読むことはありません。
科目目的
哲学書あるいは思想書を一冊でも読み進めることにより、難しめの本に対する苦手意識をなくす。演習の同級生と意見を交換しながら、自分本位にならず他の意見も尊重し、書かれている内容を書かれているとおりに把握する修練をする。一冊を読むことによって、自信もつき、視界も開け、これにより二冊目以降を読むことは、比較的容易となるでしょう。
最終的な目標は、難しい本の難しさを理解したうえで難しい本を読めるようになることです。
到達目標
思想的な書物を深読みすることに習熟する。そのために、自分の固有な〈読み〉を練磨するとともに、他の人の意見を傾聴することにも意を払うようになる。
授業計画と内容
前半(春学期)
第一回 顔合わせとテクストの選定の準備
第二回 進行方式に関する協議とテクストの選定準備 顔合わせの続き
第三回 使用テクストの決定。(必要に応じて ゼミ長の選出。)
第四回 テクスト周辺の解説。
第五回 講読(時代を把握する)
第六回 講読(著者の意図を探る)
第七回 講読(論題の意義をとらえる)
第八回 講読(自分との関わりを考える)
第九回 講読(著者の主張を整理する)
第十回 講読(関連する諸問題に目を向ける)
第十一回 講読(他人の見解を検討する)
第十二回 講読(現代とのつながりを探る)
第十三回 発表(前半担当者)
第十四回 発表(後半担当者)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・主要テクストの講読にあたり、毎回指定の箇所について下読みをしてくる必要あり。
・授業内で扱われたことは各自で消化して、次回の読解に役立てることが求められる。
付記:思想的な書物に触れたい、あるいは思想的な問題について思索したい、そのように思う者の絶対数は多くないかもしれないけれど、少なからず存在するといえるでしょう。当ゼミは、そのような人々も孤立することなく集まれる場所です。独自な意見を持つことは必ずしも求められていません。まずは虚心にまた精緻にテクストを読むことを基本としたいですね。テクストの奥深さを理解したうえで自分の考えを構築することが望まれるところです。
ゼミとは別に、各自で自分の好きな活動を続け、場合によってはそれをメンバーの間で共有し、人生を豊かにするのがよいでしょう。芸術の鑑賞、あるいは藝術活動などは哲学的思索と極めて親和的です。いわゆる文芸作品も思想と決して別物ではないので、それらを読むことは大いに推奨されます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 期末に課されるレポート(一回)。例年では、使用テクスト、あるいはその周辺に関する論題で自由に作文、という課題。これと併せて、書いたものを下地にした口頭発表が期末課題となります(例年は一人あたり十分程度)。 |
平常点 | 40 | 毎回の授業における参加の度合いなどが考慮される。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
調べもの、提出物、質問、などで語るべきことがあれば、翌週以降に言及する予定。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
すべては参加者の意向に則してのこととなるが、相当数の人数がいる場合、グループ分けして、論議、ディスカッション、あるいは共同研究、のようなことも視野に入る。
各学期の最後には、自らの書いたものに即して口頭発表が予定されているので、これはプレゼンテーションに属すると言える。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
一冊の基本的なテクスト(思想的・ないし哲学的な書物)を設定して、それを読んでいくことになります。
(参考となる書籍に関しては必要に応じて指摘します)
当演習で扱う書物は、選抜時に提出された各自のレポートと最初の会合での摺り合わせとによって選定されます。
――参考までに、これまで扱ったものは:マイケル・サンデル『これからの正義の話をしよう』、プラトン『饗宴』『国家』(部分)、オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』、ベンヤミン『複製技術時代の藝術作品』、フロイト『幻想の未来/文化への不満』、アーレント『人間の条件』、ハイデガー『形而上学入門』、『形而上学とは何か』、『ニーチェ(芸術としての力への意志)』、シェリング『学問論』、カント『純粋理性批判』、ヘーゲル『精神現象学序論』、ニーチェ『反キリスト者』、『喜ばしき知恵』、アリストテレス『形而上学』、夏目漱石『私の個人主義』、デカルト『哲学原理』、三木清『哲学入門』『人生論ノート』、ショーペンハウアー『幸福について』、アラン『幸福論』、阿部謹也『中世における罪と罰』、シュピュリ『アルプスの少女 ハイジ』、斉藤幸平『人新世の資本論』などです。
全部終わったものもあれば、1/4程度までしかいかなかったものなど、読み進めた範囲は、年によりまちまちといえます。
その他特記事項
哲学書は、当人が分かったつもりで読んでいても、独りよがりの読み方をしている場合も多々あるのが実状です。この演習は多人数で晴朗に楽しみながら、他者の読みを尊重しながら読み進めることを目指しています。各自の独自な意見をもつことが参加の条件なのではなく、他人の言葉を尊重する人々の参加が望まれています。