シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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基礎演習2 | 2024 | 秋学期 | 水5 | 法学部 | 山田 博雄 | ヤマダ ヒロオ | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-002S
履修条件・関連科目等
基礎演習は通年科目ですから、「基礎演習1」と同じです。すなわち以下の通りです。
特にありません。ただ歴史Ⅰ・政治史Ⅰなどを学修しているほうがいいとはいえるでしょう。哲学や思想、文学や歴史など、人間が知っていること(科学)、信じてきたこと(宗教)、感じてきたこと(文学)、要するに人間の知的活動について、大学での勉学の機会を得たのだから大いに勉強しようという人、知的好奇心に富む人の受講を期待します。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
戦後日本の出発点が何であったか、どんな代償を払って何を手に入れたのか、手に入れたものの価値は普遍的なのか、重要なのかなど、今現在に直接かかわる欠かせない思想史的な問題を考えていきます。
学ぶ軸として、秋学期は日本歴史上、最大かつ最悪の政治的出来事であるアジア太平洋戦争について書かれた一冊の書物を読んで、受講生諸氏とさまざまな角度から話し合っていくことにします。
今では古典といってもいい書物、鶴見俊輔著『戦時期日本の精神史』(大佛次郎賞受賞作品)を読みます。この本は、現在の日本においても主要な問題であり続けている様々な事柄について、触れていないものはない、といってもいいものです。
少なくとも私たちの生きる日本社会を理解するうえで、この本くらい有益な本も少ないのではないでしょうか。それを一緒に読み解いていきましょう。
科目目的
21世紀をいかに生き延びるか。この世界をどのように構想できるのか。それを考えていくのが目的です。いま自分はどんな地点に立っているのか。まずはそれを知ることからすべては始まるでしょう。私たちは一体何を望み、どうありたいのか。それを、20世紀の日本の歴史をふり返ってみることによって、一緒に考えていきましょう。自分なりにある程度、世界に対する展望を見出せるようになること、そして自問自答できるようになることが、到達目標です。
到達目標
日本人の考え方、行動の仕方について書かれた書物を、ある程度正確に読めるようになり、世界の国々との若干の比較を通して、日本文化を相対化できるようになること。つまり世界の中の日本の特徴を知ること。書物との対話を通して現在のわたしたちの置かれている状況を客観的に分析できるようになること、そして自ら考え行動できるようになること。
授業計画と内容
・第1回 ガイダンス、および1931年から45年にかけての日本への接近
・第2回 転向について――幕末維新期
・第3回 転向について――戦中戦後期
・第4回 鎖国
・第5回 国体について
・第6回 大アジア
・第7回 非転向の形
・第8回 日本の中の朝鮮
・第9回 非スターリン化をめざして
・第10回 玉砕の思想
・第11回 戦時下の日常生活
・第12回 原爆の犠牲者として
・第13回 戦争の終り
・第14回 総括・まとめ:戦後の価値観について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
演習は「思考のレッスン」の場です。間違うことを恐れずにやりましょう。むしろ人は間違いからこそ学ぶ、ともいえます。そして、経験からいかに思考を紡ぎだすこと、――つまりそれが「思想」というものです――を楽しく考えていきましょう。
もちろんある程度の知識は必要です。予習の段階で、テキストの下読みと疑問点の提出、そしてできれば関連書にあたってみることを望みたいと思います。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 毎回の授業で学んだこと、および課題図書を読んで、その内容を文章によってできるかぎり正確に客観的に表現できるか確認します。 |
平常点 | 50 | 演習ですから、もちろん出席は必須です。受講生と教師が、ああでもない、こうでもないと話しあうことを重視します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト 鶴見俊輔『戦時期日本の精神史』岩波現代文庫、2001年
その他特記事項
「思想」などというと、ひどく難しいものと思っている人がいるかもしれません。ですが、ここでは、ごく大ざっぱにいえば、日常生活の当たり前の暮らしのなかで考える行為が哲学であり、思想であるという立場をとります。
それならば誰にでもあるはずでしょう(?)。自分の生きている現場で考える、意識化する、そして注意深くものごとを見られるようになることを期待しています。もう一つ大事なのは、「問い」です。自らの発する問いが、学問の出発点ですから。