シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文化論B1 | 2024 | 春学期 | 金2 | 法学部 | 下出 宣子 | シモイデ ノブコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-003L
履修条件・関連科目等
中国への関心の深浅、また自分の専門分野が中国に直接関係するか否かに関わりなく、多くの学生に履修してほしい。中国映画を鑑賞して、作品を通して中国の文化や社会について解説するが、とくに中国語等の学習歴があることを必要としない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
中国・台湾映画を鑑賞する。
今年度春学期は、台湾の魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督の『海角七号 君を想う、国境の南』、『セデック・バレ』、『KANO 1931海の向こうの甲子園』を中心に鑑賞する。
『海角七号 君を想う、国境の南』(2008年)は、1945年の日本の敗戦によって引き裂かれた日本人青年と台湾人少女の恋と、60年後に発見された彼の恋文をめぐり、現代の日本人と台湾人が出会う物語。『セデック・バレ』(2011年)は、1930年に台湾先住民セデックの人々による抗日蜂起「霧社事件」を描いた作品で、抗日蜂起に到るまでを描いた第一部「太陽旗」と日本軍及び警察、日本側につく先住民によって抗日蜂起が鎮圧される過程を描いた第二部「虹の橋」からなる。『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2014年)は、日本統治下の1931年に嘉義農林学校の日本人、台湾人(漢族)、台湾先住民族の三民族混成の野球チーム「KANO」が日本の甲子園野球大会に出場した史実に基づき、当時の台湾の社会状況とKANOが甲子園に出場したことの歴史的な意味を探る作品である。番外編として侯孝賢監督『珈琲時光』(2004年)をとりあげる。台湾の監督が東京に暮らす日本の若い女性を描いた作品だが、主人公は台湾映画の仕事に携わるうちに、1936年ベルリンオリンピックの芸術競技に日本代表として管弦楽曲「台湾の舞曲」を出品した台湾人作曲家江文也について興味を持つ。映画の中に実在の江文也の妻と娘が登場し、ドキュメンタリーとフィクションが混在するおもしろい構成となっている。
映画作品を通して台湾の文化や社会および近現代史に関わる問題(日本と台湾の関係、日本人、漢族、先住民族の関係)について知り、そこに生きる人々の生活や感情を理解する一方、逆にそれを知ることにより、作品そのものをいっそう深く味わうことができるようにしたい。また、そこに描かれた人々の生活や心情が他人事ではなく、現代の私たちの社会や私たち自身が抱える問題についても考えるきっかけとなることを願う。
受講者から出される感想や質問を取り入れながら授業を進める。受講者は、自分の現在属している社会や集団の価値観が絶対的なものではないことを知り、他者を理解する想像力の幅を広げていってほしい。必ずしも観やすい作品ばかりではないが、きっと得るものはあると思います。
科目目的
中国・台湾の文化や社会、日本とは異なる価値観について理解を深める。
到達目標
1.作品の内容をきちんとまとめ、自分なりの興味や問題点を見出す
2.他の受講生の感想や意見を読んだり、授業を通して作品についての理解を深める
3.作品を理解することを通して、中国や台湾の歴史や文化への理解を深め、さらに自分なりの問題意識をもち、それについて考察する
授業計画と内容
第1回 ガイダンス
第2回 『海角七号 君を想う、国境の南』(1)日本植民地下の台湾の状況・日本の敗戦、台湾の光復
第3回 『海角七号 君を想う、国境の南』(2)現代の台湾人の日本・日本人観
第4回 『海角七号 君を想う、国境の南』(3)作品解説とディスカッション
第5回 『セデック・バレ』第一部「太陽旗」(1)日本の先住民支配の状況
第6回 『セデック・バレ』第一部「太陽旗」(2)「霧社事件」と現代に及ぶ問題
第7回 『セデック・バレ』第一部「太陽旗」(3)作品解説とディスカッション
第8回 『セデック・バレ』第一部「虹の橋」から抜粋
第9回 『KANO 1931海の向こうの甲子園』(1)台湾における漢族と先住民族
第10回 『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2)台湾と甲子園
第11回 『KANO 1931海の向こうの甲子園』(3)作品解説とディスカッション
第12回 『珈琲時光』(1)侯孝賢監督とその作品について
第13回 『珈琲時光』(2)江文也について
第14回 『珈琲時光』(3)ドキュメンタリーとフィクションについて考える・ディスカッション
*各作品について3~4回の授業を当てる。授業の進行状況などにより、変更が生ずることもある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
台湾の近現代史に関する書物を読んだり、現在の台湾社会に関する情報に関心をもって情報を得ておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 授業を通して自分なりの問題意識を持てたか、また、それについての考察がなされているか |
平常点 | 50 | 作品の内容を理解しまとめられているか、また自分なりに興味や問題点を見出せているか *各回の授業ごとに簡単なリアクションペーパー、作品ごとに小レポートを提出 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特になし。参考文献は授業時または授業前後に紹介する。また授業で用いる資料は授業前後にmanabaに掲載する。