シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文化論B2 | 2024 | 秋学期 | 金2 | 法学部 | 下出 宣子 | シモイデ ノブコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-004L
履修条件・関連科目等
中国への関心の深浅、また自分の専攻分野が中国に直接関係するか否かに関わりなく、多くの学生に履修してほしい。中国映画を鑑賞し、作品を通して中国の歴史、文化、社会について解説するが、とくに中国語等の学習歴があることを必要としない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
今年度秋学期は、日本、中国、台湾の映画監督が互いに影響を受け、あるいは影響を与えたと語る作品を取り上げてみたい。
前半は、1980年代に起こった台湾ニューウェーブ世代を代表する映画作家の一人として業績をスタートさせたホウ・シャオシェン監督とエドワード・ヤン監督の作品を観てみよう。ホウは、脚本を担当する二人の作家、ウー・ニエンチェン、チュー・ティエンウェンともに多くの佳作を生んできた。戦後に中国から台湾に移り住んだ「外省人」の家に育った侯と朱、日本統治時代、それ以前から台湾に住む「本省人」家庭に育った呉との共同作業は、彼らに台湾の歴史に目を向けさせた。まずはじめにホウの自伝的作品『童年往事 時の流れ』(1985年)を見た後、侯孝賢が台湾の近現代史をたどり、台湾に生きた人々を見つめた三部作ともいえる『悲情城市』(87年)、『戯夢人生』(93年)、『好男好女』(95年)のうち最初の一作『悲情城市』を取り上げる。次に、ホウと同年代で同じ外省人、1980年代には互いの映画に出演するなど一緒に台湾の新たな映画を作り出したが、まったく別の個性をもつヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』(2000年。台北のある家族のひと夏を描く)を取り上げる。『童年往時』と同時代を描いた『クーリンチエ少年殺人事件』についての解説に授業の1回を当てたい。
後半では、いま注目される中国の若手グー・シャオガン監督が『春江水暖』(19年)で「絵巻物」のように描いた江南の小都市の現在の生活をみてみよう。最後に、グーが影響を受けた(グーは影響を受けた監督は誰かと聞かれ、是枝とホウの名を挙げている)という是枝裕和監督の作品から『歩いても歩いても』(08年)を取り上げる。是枝もまたヤンやホウの作品から影響を受けたという。その影響関係は作品に明らかな形で表われてはいないかもしれないが、その糸を手繰って4人の作品を取り上げてみようと思う。
受講者から出される感想や質問を取り入れながら授業を進める。受講者は、自分の現在属している社会や集団の価値観が絶対的なものではないことを知り、他者を理解する想像力の幅を広げていってほしい。必ずしも観やすい(理解が容易な)作品ばかりではないが、きっと得るものはあると思います。
科目目的
中国・台湾の文化や社会、日本とは異なる価値観について理解を深める。
到達目標
1.作品の内容をきちんとまとめ、自分なりの興味や問題点を見出す
2.他の受講生の感想や意見を読んだり、授業を通して作品についての理解を深める
3.作品を理解することを通して、中国や台湾の歴史や文化への理解を深め、さらに自分なりの問題意識をもち、それについて考察する
授業計画と内容
第1回 ガイダンス/『童年往時』(1)ホウ・シャオシェン監督について
第2回 『童年往時』(2)台湾の1950~60年代・「外省人」家族の生活
第3回 『悲情城市』(1)台湾の戦後・日本の植民統治の終わりと国民党統治
第4回 『悲情城市』(2)「二・二八事件」と白色テロ
第5回 『童年往時』・『悲情城市』(3)作品解説とディスカッション
第6回 『ヤンヤン 夏の想い出』(1)エドワード・ヤン監督について
第7回 『ヤンヤン 夏の想い出』(2)1980年代の台湾ニューウェーブについて
第8回 『ヤンヤン 夏の想い出』(3)作品解説とディスカッション
第9回 エドワード・ヤン初期の作品『クーリンチエ少年殺人事件』について
第10回 『春江水暖』(1)グー・シャオガン監督について
第11回 『春江水暖』(2)2019年の江南の小都市の生活
第12回 『春江水暖』(3)作品解説とディスカッション
第13回 『歩いても歩いても』(1)是枝裕和監督とヤドワード・ヤン、ホウ・シャオシェン、グー・シャオガン
第14回 『歩いても歩いても』(2)作品解説とディスカッション
*授業の進行状況などにより、変更が生ずることもある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
中国現代史に関する書物を読んだり、現在の中国の社会状況に関するニュースに関心をもって情報を得ておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 授業を通して、自分なりの問題意識を持てたかどうか、またそれについて考察し得ているかどうか |
平常点 | 50 | 作品の内容を理解し的確にまとめているかどうか、また、自分なりの興味や問題点を見出しているかどうか *各回の授業ごとに簡単なリアクションペーパー、作品ごとに小レポートを提出 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特になし。参考文献は授業時または授業の前後に紹介する。また授業で用いる資料は授業の前後にmanabaに掲載する。